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トップ  >  クリニカルアートやまがた(“「いてくれてありがとう」と言えますか?−臨床美術の根底にあるもの−”2014年3月11日更新)

“「いてくれてありがとう」と言えますか?−臨床美術の根底にあるもの−”
が開催されました。


クリニカルアートやまがた

  平成26年3月8日、東北芸術工科大学の207講義室にて、クリニカルアートやまがた主催の公開講演会“「いてくれてありがとう」と言えますか?−臨床美術の根底にあるもの−”が開催されました。

  今回のこの講座は、「平成25年度山形市コミュニティファンド公開プレゼンテーション補助」の対象事業に採択された「山形市内を中心とした『臨床美術』の普及事業」の一環として実施され、約85名の皆さんが参加されました。




  講師の関根一夫氏は、今から約18年前の黎明期から、彫刻家の故・金子健二氏らとともに「臨床美術」のプログラム開発に携わって来られた方です。牧師としての傍ら、NPO法人日本臨床美術協会の副理事長を務められています。

  現在では心の問題や個人の能力開発など、様々な場面で臨床美術士が活躍する機会が増えましたが、臨床美術が高齢者の脳機能訓練などに有効であるとのことから、主に認知症のケアに用いられてきた歴史があります。

  関根氏は、この18年の中で得た経験やエピソードなどをお話の軸にしながら、ご自身の体験、そして文献からの引用も時折交えつつ、演題にある“臨床美術の根底にあるもの”について終始和やかにお話をされました。




  この講演で、臨床美術の歴史は、私たちを取り巻く様々な社会問題に伴っているものだと知りました。講演の着地点である「存在論的人間観」(=きずな関係)に対照するものとして、関根氏は「機能論的人間観」(=成果主義)と認知症の関係性をお話されました。出来ないことが許されないというこの世の中で、「出来る」という機能が徐々に失われていく認知症の方は、次第に居場所が無くなってしまい、結果的に否定されることへの抵抗が様々な行動となって表出してくるのだそうです。

  この中にあって臨床美術は、夢中になれる時間の提供のみならず、作ったものが形に残るため、認知症の方も情緒的に安定してくるということと、彼らの家族に対しても心にゆとりが出来るのだと言います。

  つまり、脳の活性化だけではなく、「居場所」という副次的な効果があるのだそうです。

  「居場所がある」ということはとても大切なことであり、「居場所がある」と思えると、当人も家族も不思議と生きる意欲が沸いてくるものだと、関根氏は説きます。このことは、認知症に限ったことではないものと言えます。

  また、相手の存在を大切に思い、受け入れる言葉としての「ありがとう」は薬と同じ効果がある反面、後半の簡単なワークで実際に「いてくれてありがとう」を言ってみると、それは想像以上に難しいものでした。しかし、面と向かって言う事は難しくても、場面ごとに、角度を変えながら「ありがとう」を言うことは誰にでも出来るのかもしれません。「夢中になっている姿」や「作品」などを通して、相手に言葉をかける機会を与えてくれるところは、「臨床美術」だからこそ出来ることなのかもしれません。

  この様にして、様々な社会問題に対して臨床美術士は、「美術」という手法で、私たちに普段の生活では体験することの出来ない「気付き」を提供してくださいます。私は、そんなみなさんがこの山形の地にもいてくれることに、「ありがとう」を伝えなければならないと思いました。


 


  クリニカルアートやまがたは、臨床美術講座の企画・実施と、所属している臨床美術士のサポートを行っています。会員の募集はもちろん、活動に共感してくださる方からのご支援も求めていますので、関心のある方は直接連絡を取っていただくか、市民活動支援センターまでお問い合わせください。



■お問合せ先
クリニカルアートやまがた 
 (TEL:023-627-2091 ※平日9時〜17時)
WEBサイト:http://www.clinicalart-yamagata.jp/


(2014年3月取材・記事/花屋)