2018 世界アルツハイマーデー記念公開講座
「~認知症 つながるこころが 笑顔呼ぶ~」

公益社団法人 認知症の人と家族の会山形県支部

1994年、国際アルツハイマー病協会と世界保健機関(WHO)が共同で毎年9月21日を『世界アルツハイマーデー』と定めました。この日を中心として、9月は日本の全国各地で認知症への理解をすすめるイベントが行われています。


ここ山形でも、2018年9月22日(土)、公益社団法人認知症の人と家族の会山形県支部主催の、「世界アルツハイマーデー記念公開講座~認知症 つながるこころが 笑顔呼ぶ~」が開催されました。この公開講座は、一般社団法人生命保険協会山形県協会の助成金を受けて実施されています。私も会場に伺ってきましたので、その様子をご報告します。

会場には、福祉や医療関係、そして行政、家族の介護をしている方など、約120名の方が来場しており、認知症に多くの方が関心を寄せていることがわかりました。講師は、北海道医療大学名誉教 中島紀惠子さんです。中島さんは、公益社団法人認知症の人と家族の会顧問を務めており、1980年、本部発足にも関わり、千葉県支部を立ち上げた方です。

講座では、「誰もが自分らしく生きるために」というテーマを通し、1980年代から現在までの認知症患者や家族を取り巻く社会の変化や国の施策の変遷、家族や介護者として支援する側の在り方などを、先生が実際に経験された例を交えながら、お話されました。

認知症の人と家族の会(当時は、ぼけ老人を抱える家族の会)が発足した1980年当時を振り返り、認知症を発症しても公的な支援はほとんどなく、認知症はどのような病気なのか情報がなかったこと、また施設に入所すれば画一的な介護で自由がなく夢も希望も奪われた時代であったことを話されました。そして、認知症の人と家族の会のように患者や家族を包み込み、誰でも参加できるオープンな場が必要であること、患者本人をサポートするには「身体」「心」「記憶」に寄り添うことが大切であることなどもお話されました。どのお話も長年のご経験に基づいた重みのある内容で、会場の皆さんは熱心に耳を傾けていました。

中島さんの他、山形県の長寿社会政策課佐藤専門員の方より県の認知症施策についての説明や若年性認知症の人と家族の会「なのはな」の皆さんによる事例発表も行われ、とても中身の濃い有意義な時間でした。

2012年は、65歳以上の高齢者の462万人が認知症患者だったのに対し、2025年には、700万人以上が認知症患者になると言われています。これは、65歳以上の方の5人に1人の割合です。これらは厚生労働省「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~の概要」に記載されています。この新オレンジプランには、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指すことが掲げられており、国・県・市を通して様々な施策が実施されています。


認知症の人と家族の会では、各県でのつどい開催、会報発行、電話相談などを精力的に行っており、山形県支部では、月~金 昼12時~午後4時まで、認知症について気軽に相談できる交流の場「さくらんぼカフェ」を運営しています。認知症について情報を知りたい方、悩みを抱えている方など、気軽にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。
認知症の人と家族の会山形県支部の皆さん、取材にご協力いただき、ありがとうございました。

●お問い合わせ先
公益社団法人認知症の日と家族の会山形県支部
さくらんぼカフェ(山形市小白川町2-3-31 山形県総合社会福祉センター内)
TEL:023-687-0387
Email:kazokunokai@camel.plala.or.jp