令和元年7月16日(火)10時から、山形市西山形コミュニティセンターで、「遊びり会」が開催されました。今年度から音楽療法を取り入れて心と体のリハビリを体験されているとのことです。会場は西山形コミュニティセンターで、山形市内の西部に位置し、標高も中心部より高くて、山形市内がきれいに見渡せる素敵な場所でした。
パーキンソン病友の会は、県内パーキンソン病患者、家族が連帯して、医療・福祉・療養生活の充実や向上のために、また会員相互の親睦と交流を深めることを目的として活動しています。医療講演会やリハビリ体操、防災講演会、個別相談会などの開催を通して、病気に負けることなく元気で明るい生活が出来る様サポートしているそうです。今回取材した「遊びり会」は、パーキンソン病の仲間が気軽に参加し、体操・近況報告・情報交換・勉強会をして病気に負けない自分を作り、同病の仲間、家族の仲間を作れる会です。そして笑って元気になれる場所だということです。
取材させていただいた今回の「遊びり会」では、前半に、音楽療法を取り入れた活動がありました。音楽療法士の安孫子由美先生を講師に迎えて、歌を歌いながら体を動かします。「ドレミの歌」、「小鳥のうた」、「浜辺の歌」、「想い出の渚」と懐かしい歌を歌いながら手を上げたり、拳を握ったりしました。5分間の休憩でしっかり水分補給をして、「知床旅情」、「銀座の恋の物語」、「浜辺の歌」と続き、歌いながら手作りのシェーカーを振ったりしました。休憩前にも歌った「浜辺の歌」は、休憩前よりもキーを上げたとのことです。参加者の皆さんも声がだんだん出てきた実感を持てているようでした。みんなで歌に合わせて声を出すと気持ちがスッキリします。声を揃えて歌うことで一体感が生まれます。
安孫子先生は「3月から月に1回開催しています。パーキンソン病の患者さんにとって音楽療法が役に立つのであれば自分も取り組んでみようと思っていたところにタイミングよく声をかけていただきました。音楽を通してリラックスしたり、脳が活性化したり、社会性を持てるようになったり、ストレス開放を促す効果があると言われています。音楽療法がそんな効果をもたらしてくれるのなら嬉しく思います。実際に遊びり会に参加している方々の表情が、回を重ねる度に柔らかくなってきていることを実感していますし、表情が豊かになり、笑いもでるようになりました。自主的に参加しようという方もいて、その楽しさがわかってきたのだと思います。音楽療法がもっと医療の中に取り入れられるといいですね。」と話していました。
後半は、参加者が丸くなって座り、一人ずつ「自分にとっていいこと」や近況を話しました。毎朝草取りをしていること、都会の真ん中で入院したこと、友達が何年かぶりに会いに来てくれたこと、家事をして支えてくれる夫への感謝の言葉、オリンピックを楽しみにしていること等、聞いていても元気がもらえるような前向きな言葉が続きました。
遊びり会を主宰する松木さんは、この会を継続することで、病気に対して前向きになり、関心を持ち、病気と立ち向うことができるようになってきたということです。自分にとって心地よい居場所を作ったことで発展してきたことから、気楽に参加できる、元気になって帰って行けるそんな会を継続できるようにしていきたいと話してくれました。普段家の中でも、歌を口ずさんだり、歌ったりする機会があればいいということです。声を出すことは、パーキンソン病の患者にとって嚥下や構音障害に効果的があり、遊びり会に来るために、家を出た時からリハビリは始まっているとのことです。また、ボランティアで関わってくださっている安孫子先生に、深く感謝したいとのことでした。
病気が進行する不安はありますが、日常生活=リハビリと捉え、積極的に取り組んでいる姿に感動しました。みんなで一緒にやる、声を出すことで体も心もリフレッシュできるし、この遊びり会の会場に来ることもリハビリの一環になっているとのことです。病状を受け入れ自分を受け入れた上で自分の人生を楽しみ、病気で繋がったかけがいのない多くの人たちへの感謝を忘れずに、ありのままにしなやかに生きていきたいと話す姿が、凛として清々しく輝いていました。
医療費助成制度の変更に伴って、自分の権利を掴み取るために外来の3分間はある意味で戦いの時間だそうです。服薬によりオンとオフが繰り返される中、外来受診時はオンの時間帯で、その人にとって最もいい状態で受診することが多いため、通常の自分の状況を理解していただくのに苦労が絶えず、周囲の理解不足や無理解に苦しむ事もあるとのことでした。地域の中で高齢者も障害者であるパーキンソン病の患者も、どんな人でも誰もが共生し生きやすい地域社会が実現できればいいですね。
■お問い合わせ先
(一社)全国パーキンソン病友の会山形県支部 遊びり会
担当 松木 純子 ℡ 023-645-2645