体験!実践!国際理解実践フォーラム2019~山形から世界をみてみよう!~

 山形にいながら世界について考える「国際理解実践フォーラム」。今年も多文化共生や国際協力、国際理解教育など、様々な分野をテーマとした8つの分科会が開催されました。その中の第8分科会「ジェンダーから見る多文化共生~家庭を中心に考える~」にお伺いしました。

このフォーラムは、公益財団法人山形県国際交流協会と独立行政法人国際協力機構東北センターと認定NPO法人IVYが主催したもので、企画や運営は国際理解実践フォーラム2019実行委員会によるものです。

第8分科会では、東北文教大学短期大学部特任准教授齋藤由美子さんを講師に迎え、「女だから・男だから」、「女らしさ・男らしさ」 ジェンダーってなに?というテーマで、前半はジェンダーを理解するワークショップを行いました。はじめに各グループに封筒に入った6枚の紙が渡されました。それを辻褄が合うように時系列で並べました。女性・男性という性の違いによる私達の思い込みや偏見が邪魔をしてなかなか文章を完成させることができませんでした。

次に政治や買い物、料理などの10種類の仕事が書かれたカードを、模造紙に書かれた男性と女性、SexとGenderのカテゴリでマトリックス表にしていきました。グループ内での意見がなかなかまとまらずに苦労する場面もありました。グループごとに発表し全体で共有しましたが、分類の仕方はグループによってそれぞれでした。そのワークを通してジェンダーは世代や地域、文化や個々の捉え方によって異なることを実感しました。

後半は家庭の中のジェンダー、国によって異なるジェンダー観について2名の県内在住外国出身者の話をうかがい、そのあとグループに分かれて話し合いをしました。中国出身の方は、中国では両親が共稼ぎだったので、早く帰宅した人が食事を準備するのは普通のことで、家事は二人で協力するのが当たり前だと思ってきたそうです。友人の家へ遊びに行くと友人のパートナーが料理をして、もてなしてくれたということです。日本に来て結婚し夫の両親と同居したら、夫の父親も夫も「水」、「お茶」、「おかわり」と指示するだけで座ったまま何もしないことに驚いたそうです。自分のことは自分でしたらどうかと少しずつ働きかけを続けて、最初は自分の代わりに席を立っていた夫の母が今では良い理解者になってくれているとのことでした。

ベトナム出身の方は、ベトナムでは母親がすべての家事をこなしていて、家事は娘にだけ教えられたそうですが、息子たちは就職して社会に出てからだんだんと家事をするようになったとのことでした。日本では、子どもが発熱した時に夫が迎えに行こうとすると、どうして奥さんが行かないのかと職場の人に言われることが多いそうです。自分の夫は理解があるが、社会の理解がないのが残念だと話してくれました。

その後はグループの中で自由に話し合いました。どのグループにも県内在住外国出身者の方がおられたので、国や環境による違いを直にお聞きすることができました。私のグループでは、理想的なジェンダーなどの正解はないこと、相手の持つジェンダー観と付き合うことが大切なこと、突き詰めると思いやりとコミュニケーションが大切なのではないかという結論になりました。

文化的背景が異なる人たちがより気持ちよく暮らすにはどうすればよいのか、参加者同士が一緒に考えて、意見交換や情報共有を通して交流を深め、国際交流・協力に関わる人々の輪が広がっていければいいのではないかと感じました。

■お問い合わせ先:公益財団法人山形県国際交流協会
Eメール:info@airyamagata.org
http://www.airyamagata.org/

(文責:有川富二子)