山形紙芝居研究会 代表 折原さんへインタビュー
人とつながる「手づくり紙芝居」の魅力(令和4年5月31日取材)
2019年に開催された「全国紙芝居まつり」の運営や、山形県立図書館への手づくり紙芝居の寄贈など、紙芝居文化の普及と発展を目的として活動している「山形紙芝居研究会」について、代表の折原由美子さんに話をお聞きしました。
会の成り立ち
「山形紙芝居研究会」は、2007年から実施されている、山形県教育委員会主催の自作視聴覚教材制作講習会「手づくり紙芝居部門」の受講生を中心に、2019年に開催された「全国紙芝居まつり上山(山形)大会」の開催、運営のために2017年に立ち上げられた団体です。
会での活動は主に、講師に紙芝居作家のときわひろみ先生を招いての勉強会や、それぞれが自由に作る手づくりの紙芝居作り、学校や高齢者施設等から依頼を受けての紙芝居の上演などの活動を行っています。
紙芝居の醍醐味は、演じ手と、聞き手の間でコミュニケーションが取れること。
紙芝居は、作品をただ読むのではなく、ぜひ実際に演じているところを見てほしい、と折原さん。
紙芝居は同じ作品を使っても、セリフや擬音の読み方、アドリブなどによって、演じた人により違う作品になってくるとのこと。たとえば、作中に出てきた「ピザ」をきっかけに、「最初にピザを食べたのはいつでしたか?」と話を展開するなど、一方通行になりがちなテレビやDVDとは違う魅力が紙芝居にはあります。折原さんによると、実は子どもたちよりも高齢の方々のほうが、その点、良くリアクションをしてくれるとのことです。
郷土の風習をモチーフにした紙芝居づくりのため取材に行くことも。
また、郷土の文化をテーマをとした作品を作ることも多く、折原さんが脚本・絵を作成した「どんと来い!三途の川」(ときわひろみ監修、雲母書房出版)の作成にあたっては、作中に出てくる「オナカマ(口寄せ巫女)」が使った道具を中山町の資料館に見に行き、それを参考に作成したとのことでした。作中で叩いて鳴らすシーンのある弓ですが、流石に現物に触れることはできず、音を想像して書いたそう。
紙芝居を作る過程にも、脚本作りのために図書館や地域の中を歩いて様々な資料を集めるなど、ただただ絵を描くだけではないアクティブな面があります。
紙芝居に実際のカエルが!?紙芝居を飛び越えた体験
折原さんが印象的だったとお話する上演に、カエルの成長を題材とした紙芝居「おたまじゃくしのアッペとトッペ」(ときわひろみ作、藤本四郎絵、教育画劇出版)があるそうです。その上演の際、実物の「カエル」がやってきたとのこと。会員の知り合いにカエルに詳しい方がいる、ということで、その方が飼っているカエルたちとともに会場に来てもらい、実際にカエルたち触れることもでき、子どもたちは興味津々だったとのこと。
また折原さんの手づくり紙芝居「とべ!ちびた!」を上演するときは、「イナゴ」を捕まえに行ったが捕まえられずにいたら、当日、会場のスタッフの方が稲の葉とイナゴをペットボトルに入れて持ってきてくれたとのこと。郷土の文化や生き物といった、子どもたちへのアクティブな学びを提供できるのも紙芝居の魅力だとお話されていました。
最後に
現在の「山形紙芝居研究会」の活動は、山形県立図書館で月に1回開催している「紙芝居のひろば」が中心となっているとのこと。山形県立図書館では、会のみなさんが作成し寄贈した手づくり紙芝居の複製25作品を閲覧することができます。
また、ウェブサイト「ふるさと塾アーカイブス」にて、自作視聴覚教材コンクールに出展した手づくり紙芝居を映像化されたものが公開されています。
折原さんにお話を伺って、紙芝居の制作から演じるまでの、手づくり紙芝居の完成までのプロセスは、考えている以上にアクティブで学びの多いものだと感じました。
みなさんも実際に演じられている紙芝居をぜひ観て体感してみてはいかがでしょうか。
- お問合せ先
山形紙芝居研究会
代表 折原由美子さん
電話・FAX 023-644-1696
折原さんより「どんと来い!三途の川」をセンターに寄贈いただきました。
寄贈いただいた紙芝居は、当センター「ふらっと」に配架しています。閲覧したい方はお気軽にお声がけ下さい。