NPO法人ふれあいにこにこの丘の代表の荒井さんにお話を伺いに、8月2日に小立にある活動拠点に行ってきました。
「NPO法人ふれあいにこにこの丘」は滝山地区の元気な高齢者に、今までの経験を活かして地域の担い手として働いてもらい、山形市内の高齢者に住み慣れた地域で安心した生活を送れることを目的に平成17年に設立されました。
現在の活動者の平均年齢は70歳。以前の活動者が今は利用者になっているといいます。設立時に比べると滝山地区の65歳以上の高齢者は2倍近くに増え、地域の住民自治による助け合いはまったなしの状況になっています。
◎介護保険に頼らない活動◎
事業はすべてインフォーマルサービス事業、つまり介護保険に頼らず、自分たちが主体となって行う援助活動で成り立っています。
しかし経営的には厳しいといいます。けれど、今インフォーマル事業で行っている既存の団体が発展しなければ、後に続く団体が出てこなくなるという気持ちから、なんとか工夫して運営しているとのことです。
「ふれあいにこにこの丘」をたくさんの人に知ってもらい、利用者がもっと増えることで、他の地域にも住民自治によるインフォーマルサービス事業を行う団体が増えてほしいと、荒井さんは言います。
これからも地域の方の理解・協力を得ながら地域の担い手の仲間を増やす活動を行い、地域の課題・高齢者の課題と関わりながら、健康でいきいきと活動していきたい。それが荒井さんの願いです。
◎共存型居場所「あがらっしゃい」の役割◎
「NPO法人ふれあいにこにこの丘」の主なサービスとして居場所「あがらっしゃい」を提供しています。「あがらっしゃい」では利用者は「お客様」ではなく、利用者同士で見守りや手助けをしてもらい、主体的に人と交わりその人の持つ力を活かすことを大切にしています。活動者自身も活動に対して生きがいを感じ、利用者からのありがとうという言葉に喜びを感じながら活動しています。
地域ニーズの調査で、居場所があるかどうかというアンケートを滝山地区で取ったところ、居場所のある人が16%。その他の8割以上が居場所がない、もしくはほとんどないという結果でした。
また高齢者は、健常な状態から要介護状態になるまでに、「フレイル」という中間的な段階を経ていると考えられるようになりました。社会とのつながりを失うことがフレイルの最初の入り口であるという調査結果も出ています。
運動習慣があるだけで、社会とのつながり、例えば文化活動やボランティアなどの地域活動等をしなければ、フレイルに対するリスクは4倍以上に増えるそうです。その反対に運動習慣はないが、社会とのつながりを持っている人のフレイルへのリスクは1.5倍になります。このような観点からも「あがらっしゃい」のような共存型居場所へのフレイル予防の期待は高まっていると言います。
◎心のこもった手作りの昼食・お弁当◎
また、旬の食材を使った家庭料理の昼食・お弁当の提供もしています。活動者と利用者の方が協力して新鮮な野菜を作り、だしはだしパックから取っています。
作り手である活動者も他人に食べてもらうことを意識し、作る順番がくると料理本を見ながらレシピを考え、レパートリーを増やしたりと大変いい刺激になるという事です。そして、美味しいかったと言ってもらえることは、なにより嬉しいとのことでした。その点でも、活動者と利用者が密接に関わり、お互い様の気持ちが溢れる居場所だと感じました。
荒井さんたちのような活動が各地域に広がり、それぞれの地域の住民が肩肘張らずに、お互い様の気持ちで助け合い・見守りあいながら、住み慣れた地域で健康でいきいきと生活できる社会が実現できればと、お話を伺って感じました。
・お問い合わせ先
〒990-2402 山形市小立3丁目8番39-4号
代表 荒井智子 さん
TEL/FAX:023-631-5015
ホームページ:http://www.nikoniko.site/