NPO法人 美しいやまがた森林活動支援センターは、南陽市に拠点を置き、森林保全や体験型の環境学習などの活動を行っている団体です。その中でも、山形の豊かな森、美しい森で育つ木の優しさを、音に託して伝えていきたいということを目的に「アルプホルン」の演奏を行っている「美しいやまがたアルプホルンクラブ」(※以下やまがたアルプホルンクラブと表記)が10月2日、チェリアフェスティバル2022のオープニングセレモニーで演奏するということで、その様子をご紹介します。

 

 初めに、「アルプホルン」とは、スイス・オーストリアにまたがるチロル地方に伝わる楽器で、昔はアルプと呼ばれる高山牧草地にて牛を呼ぶ、または牛の世話をする牧童たちの伝達手段として使われていました。
 やまがたアルプホルンクラブのアルプホルンは、長さが3.4mあり、2004年に源流の森のインタープリターと大学生のボランティア6人が作成したものが始まりです。よく見ると、大きさは同じでもそれぞれ微妙に色が異なっていました。このアルプホルンに使われている木材は、トウヒやスギ、ヒノキ等で、各パーツの接続部分は真鍮が使われている、とのこと。また、木の性質上気温や湿度の影響を受けやすく、特に屋外では音の響き方も異なるため、同じ曲を演奏してもいつもと違うように感じることがあるそうです。

 この日は4人での演奏ということで、リハーサルが終わってから本番までの時間にお話しを伺いました。ステージ上では準備が進む中、マウスピースを使い曲の練習をしたり、「3曲目の出だしが…」「この部分で合わせるところはうまくできた…」と確認している様子でした。メンバーの神尾さんに今回演奏する曲目についてお聞きしたところ、「いつも曲目のリストから演奏時間に合わせて選んでいるが、今回このイベントに合わせ、これまで合奏したことがない曲にも挑戦した」とのこと。

 

 そして、実際にホールにて演奏を聞いたところ、息継ぎをするたびに大きく息を吸う音まで感じられて、音を途切れさせることなく出すということでは、トランペット等と同様にとても肺活量がいる楽器だとわかりました。
 この日演奏した曲は全部で4曲。スイスの地名にちなんだ曲や、軽快なリズムで複雑なメロディが重なった曲、その中には、アルプホルン用にアレンジされた「アメージンググレース」もありました。演奏が終わり演奏者が礼をすると、会場が暖かな雰囲気に包まれ自然と拍手が起こりました。

 今回の演奏会で私自身、アルプホルンの演奏を聞くことが初めてでしたが、金管楽器でよく見るホルンとは異なりより穏やかな音色を出す楽器ということ、素材が木であることで定期的なメンテナンスや、思うように音を出すということが難しい、ということを知る事が出来ました。
 また、「今回はホールだったが、いつかまた山の中で演奏してみたい」とメンバーの奥山さんが演奏前にステージ裏でお話していたことがとても印象に残っています。ホールの中に響き渡る伸びやかな音色も魅力的でしたが、次にアルプホルンの演奏を聞く際には、解放感あふれる雰囲気の森の中で、風の音や鳥の鳴き声とともに聞いてみたいと思いました。

  • 連絡先
    NPO法人 美しいやまがた森林活動支援センター アルプホルンクラブ
    Eメール: yy_kmo@yahoo.co.jp(神尾)