令和5年11月5日(日)山形テルサ大会議室にて、「拒食症・過食症・過食嘔吐をご存じですか?摂食障害の正しい理解のために」が開催されました。この講演会は、山形市が寄付を原資に市民活動団体が地域課題解決に向けて取り組む公益事業を支援する「山形市コミュニティファンド」に採択された事業です。

 講演会は主催団体「晴れときどき雨の会」代表の沼澤さんの挨拶で始まりました。
 晴れときどき雨の会は、山形で摂食障害である本人や家族の方が悩みを共有し、繋がりが持てる居場所を目指し、令和5年4月より本格的に活動をスタートした団体です。月に1回交流会を行っており、毎回10名前後の当事者や支援者の方が参加されています。会のアドバイザーである、たけのこメンタルクリニック院長・岸真知子先生に話を聞いてもらう事もできます。

 

 講演は2部構成となっており、第1部では新潟・医療法人恵生会南浜病院、副院長・川嶋義章先生による「摂食障害とはどの様な病気でどう付き合っていけば良いのか」について医師の視点からお話しされました。

 摂食障害とは本人がコントロールしようとしてもできない、食行動の異常が持続する心と体の病であり、最悪の場合死に至る事もある恐ろしい病である事、病に罹る原因は心理的要因、社会的要因、生物学的要因と様々であり、治療には長い年月が必要である事を説明してくださいました。

 

 摂食障害の国内患者数は約22万人と推計さており、更に治療を受けていない患者、治療を中断している患者が数多く存在するとされています。
 女性がかかる事が多いが男性がかかる事もあり、10代に多いとされてきたが、最近では幅広い世代で摂食障害に悩む人が増えてきたそうで、誰もが罹患する可能性がある病気と言えます。

 それにも関わらず、日本における摂食障害の理解や支援は遅れており、相談・治療・支援につながる窓口が明確でない事、専門的な治療に至る経路が確立していない事、治療や支援の受け皿が少ない事など様々な問題があると指摘されました。

 そんな中、摂食障害の自助グループの存在は貴重であり、色々な協力関係を大事にし、焦らずゆったりと摂食障害と付き合いましょうと話され、第1部は終了しました。

 

 第2部は新潟で平成14年から摂食障害の本人と家族の自助グループとして活動されている「ABCの会」メンバーの方による体験談をお聞かせいただきました。

 ABCの会代表の浅見さんは20年以上前、次女が高校生の時に摂食障害になった話をしてくださいました。天真爛漫で何の心配もしていなかった次女が高校受験の失敗がきっかけで次第にご飯が食べられなくなった事、医師から摂食障害と診断され、初めてその病名を知り大きなショックを受けた事、それでもすぐ改善するだろうと思っていたが、どんどんと悪化し、家族全員が必死に日々を歩んできた事など、思わず聞き入ってしまうお話でした。

 

 そんな中、当時通院していた病院で依存症を抱える家族の勉強会が週1回開かれており、そこで同じ依存症の家族に出会えて、初めて安心感を得られたそうです。その後色々な経験や出会いがあり、自身で摂食障害の自助グループを立ち上げる事を決心されたそうです。

 

 浅見さんのお話の後にも2人の会のメンバーの方がお話をしてくださいました。いずれも摂食障害になった娘を持つ母親の方でした。

 大変な日々の中、ABCの会で悩みを共有し気持ちが楽になった事、他の家族の経験談を聞く事で自らの行いに照らし合わせたり、今後に希望が持てた事など自助グループの重要性についてもお話しくださいました。

 

 今回の講演会には、当事者、ご家族、医療関係者、教育関係者など様々な立場の方が30名程参加されました。ほとんどの方が摂食障害の講演会や講座に初めて参加されたそうで、この講演会が貴重な体験となったのではないでしょうか。

 

 

 

 主催団体の晴れときどき雨の会では、インスタグラムやXで定期交流会やイベント、コラム等の情報を発信しています。定期交流会には当事者やご家族は勿論、サポート希望の方も歓迎しています。興味のある方はSNSをご覧になってみてください。

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