山形音楽療法士会主催研修会
生きる力を育む「療育的音楽活動」のすすめ


山形音楽療法士会

 山形音楽療法士会は、山形県内の高齢者施設・障がい者(児)施設・病院などに在籍する10名の会員の皆さんで活動しています。定期的に研修会や事例発表会を開催し研鑽を積み、音楽療法の啓もう・普及に力をいれています。
 平成24年10月21日(日)、山形音楽療法士会が、山形市総合福祉センターにおいて『生きる力を育む「療育的音楽活動」のすすめ』を開催しましたので、その様子をご紹介します。

 今回の講座は、障がい児の保育方針や指導要領を意識した療育的音楽活動の事例を確認しながら、「音楽する」意味を探り、積極的に現場に活かす方法を考えるというもの。一般の方、保育、教育現場の先生、音楽療法に関心のある方など50名の方が参加しました。


 講師は、宮城県内において障がい児(者)の音楽療法や特別支援教育における療育的音楽活動を実践し、活躍されている高山仁先生。障がい児教育に関わる様々な機関で、研修や指導にあたっておられます。

 広く音楽療法の意味や機能を理解していただくこととともに、今回の研修会を通して、障がい児と向き合う場合、「音楽が有効であること」、「音楽が“生きる力”を育む大きな手段になりえること」を実践を通して理解していただき、現場や家庭でぜひ活かしてほしいと今回の研修会が開催されました。

 『音楽療法』とは、音楽を聴いたり楽器を演奏したりすることで、心身の障がいの回復や身体機能の維持改善に働きかけるもので、福祉や教育の現場での活用が広まっています。

 音楽のスキルが上達するための音楽教育とは違い、療法的音楽活動の第一の目的は「育ち」を促すこと。音楽活動を通して“主体性を生み出す”、“認知の力を高める”、“構造化する能力を身につける”、“自己決定力を養う“などの社会的な成長・自立を促すことを目指し行われます。

 これらは、実際に音楽療法で使われる楽器。


(左:優しい音色が響くトーンチャイム)

(右:誰でもすぐに楽しむことができる様々な楽器)


 参加者の方が楽器を演奏する場面もあり、体験しながら細かい実践方法を学んでいました。
 また、高山先生の音楽活動の実践例が、映像を交えて紹介され、映像より、自分の意思を表すことのなかった子が音楽に合わせ足でリズムを取る、或いは自分の意思で楽器を選び演奏するなど、「音楽する」体験の中から、成長していく過程が見られ、療育的音楽活動の効果を学んでいました。

 最後に、高山先生は、「音楽と子どもたちの関係を築くサポートを行うのが音楽療法士。音楽は遊び、楽しいものです。彼らに寄り添い一緒に音楽を楽しみましょう」とお話されました。
 参加者の方から、「知的障がいの子どもの自立に悩んでいた、音楽がとても好きなので家庭で参考にしたい」「子どもたちのために良い環境が整えられるようにしていかなければと勉強になった」などの感想が寄せられ、次回の開催の希望を多くいただいたそうです。

 代表の富樫さんは、音楽療法を県内で実践できる下地作りに力を入れるとともに、音楽活動が心身にもたらす影響を常に意識しての実践活動ができる仲間作りができれば、と考えておられるそうです。
 「今年で活動2年を迎え、ようやく会員間のつながりを感じてきたところ。仲間作り=信頼関係の大事さを痛感しています」とお話ししてくださいました。

 山形県内における認定音楽療法士の数はまだ少ないということでしたが、これから同じ想いを持った方が増え、活動の場が広がり音楽療法についてより多くの方の理解が深まればと思います。
 代表の富樫さん、メンバーの皆さん、ご協力いただきありがとうございました。これからの活動も応援しています!

 ■お問い合わせ先
 山形音楽療法士会(代表 富樫さち子さん)
 TEL:023-632-2298