若者文化のミュージアム
「ぷらフェス」
ぷらっとほーむ
若者の居場所づくりとまなびの場づくりに取り組んでいるぷらっとほーむは、この「市民活動の紹介」ページでも、過去に2度ご紹介しています。
そのみなさんが先日、過去11年間の歩みと、そこから生まれた様々な活動を一同に介した文化祭
「ぷらフェス」を開催しました。
開催に至った経緯について、共同代表の滝口さんは、
「これまでは、居場所に集う人たちのために、どちらかと言うと内側に向けた活動をしてきた。そして活動を始めてから10年が経ち、私たちが行ってきた様々な取り組みを、社会に広く発信する機会を設けようとなったことから、今回の開催を企画した」
とおっしゃっていました。
また、「文化祭の成功という共通の目的のために、共同作業を通して、仲間同士がさまざまな学びや達成感を得ることができる機会にしたい」との思いも込められているとの事です。
会場では「若者文化のミュージアム」とのサブタイトルそのまま、様々な催しが行われていました。
玄関口あたりまではいつもと変わらないまなび館の光景だったのですが、廊下を進んだところの受付から先は、スタッフと思しき人たちが徹底的にコスプレをしており、思わずその場の雰囲気に圧倒されてしまいました。
1階部分では、コスプレ体験、不登校・ひきこもりについて語る会などが催され、そしてもちろん、ぷらっとほーむの活動の中心であるフリースペースもあり、そこはいつもと変わらぬ空間が再現されていました。
階段を下りたところでは、過去11年間の歩みを約20mの壁一面に紹介しており、別の部屋では、青山友紀さん(山形放送アナウンサー)とぷらっとほーむ共同代表の松井愛さんとのトークライブが行われ、その後には、映像作家の鎌仲ひとみさんと映画監督の林海象さんを迎えてのトークライブが行われました。また、ブックトークサロン、パステルで色あそび&パステル画展示も催され、午後からは古本交換会が開催されました。
この他にも歌声喫茶や花笠踊りが館内で披露され、特に午後からは来場者も増え、終始賑やかな文化祭でした。
今回取材をして、強く感じたことが二つあります。
一つ目は”文化祭の担い手”についてです。
孤立しがちな人、または孤立している人にはそれぞれに様々な環境的要因があり、それらを一括りにして説明することは決して出来ません。
これは若者世代に限ったことではなく、先の山形県の調査でも、何らかのコミュニティから孤立状態にある人々の年代層は多世代に及び、「孤立している人々」の実態が顕らかになりました。
その課題の解決を図るために、ぷらっとほーむでは、これから活動を始めようとしている人々にも学びの場をつくり、動き始めた人たちを応援しています。そこで学びと気付きを得た彼らは、フリースペースを土台として様々な活動を生み出し、それらへ参加する仲間も次第に増えて行きました。その結果が”ミュージアム”即ち「文化祭」の開催へとつながったのだと思います。
この様にして、様々な背景を持った人々が、多様な活動を生み出し、それらを一つの場所で、一つのイベントを成功させたということは大変意義深いことだと感じました。
二つ目は、”共感寄付”についてです。
シンガーソングライターの伊吹留香さんとレディオサイエンスを迎えてのトーク&ミニライブは協賛金を募っての開催だったのですが、これが目標額の15万円を超える額にまで達したのは、ぷらっとほーむがこれまでに築いてきた、多くの方々との信頼関係があってこそのものなのだと思います。
ぷらっとほーむは、活動を始めた当初から”寄付”を地域の課題解決を図るための”居場所”を通して社会に還元し、それだけではなく、寄付者にとっても、その寄付がどの様に使われたのかを、顔の見える関係の中でのコミュニケーションを重ねてきたことで、共感と信頼を得て来ました。そしてまた、居場所に集う人たちにも全てを無償で提供してきた訳ではく、「共益費」を募りながら活動してきたことも大切なことなのだと思います。
NPO任意団体であるぷらっとほーむは、「法人化せずとも、活動はできる」と言うことを、行動で社会に示しているのだと感じました。
共同代表の松井さんは、日々、
「これからNPOに関わろうとしている若者たちには、お金も場所も、何もない”ゼロ”のところから、自分たちで活動を作りあげて行くことを経験して欲しい」
と私たちに語りかけます。
自身の体験と地域が抱える問題を見つめる中で芽吹いた志は、11年目にして文化祭という大きな花を咲かせるまでになりました。
進化し続けるぷらっとほーむとその場に集う人たちの活動には、これからも目が離せません。
若者たちの居場所/学びの場づくりNPO
ぷらっとほーむ
山形市緑町4丁目10-3 ファートンビル3A
TEL:023-664-2275
ホームページ:http://plathome.wix.com/plathome
(取材・文責:花屋)