モルヒネ友の会 第16回医療講演会が開催されました

認定NPO法人 モルヒネ友の会

 平成29年6月3日(土)14時から、山形市市民活動支援センター高度情報会議室で、認定NPO法人モルヒネ友の会医療講演会が開催されました。私も会場に伺い取材しましたので、講演会の様子をご紹介します。

モルヒネ友の会は、がんでない痛みをモルヒネでコントロールしている患者の会です。モルヒネを内服し、痛みを自己管理している患者と家族が中心となって、2009年に設立されました。「痛み治療のためにモルヒネを長期間服用しても、依存や異常行動が起こらないことを患者自身が示し、モルヒネに対する世間の誤解や偏見などを払拭すること」を目的に掲げ、活動しています。2011年にNPO法人化し、2015年には認定NPO法人になりました。

モルヒネ友の会が主催しているこの医療講演会は、第16回を迎えました。この日は前半に、モルヒネによる治療を行った方から体験談を聞き、後半に、加藤佳子医師からモルヒネ治療の現状などを聞くプログラムでした。

 まず、モルヒネ治療体験者の奥山美枝子さんから、『体験者の声:モルヒネに助けられて―今の私が一番元気』というテーマでお話がありました。

奥山さんは、緩和ケア科で看護師として勤務されています。その緩和ケア科で多くの患者さんに向き合った経験やがんで闘病したご家族を支えた経験があり、痛みで苦しむ患者さんやご家族が、適切なモルヒネ治療により笑顔を取り戻したことを語りました。

また、奥山さん自身も乳がんを患っており、ホルモン治療の副作用に苦しんだ際に、モルヒネを服用し痛みのコントロールを行ったことで、普段通り生活でき、前向きになり看護師として仕事もできるようになったことなどを教えてくださいました。

次に、三友堂病院緩和ケア科 加藤佳子医師が解説を行い、痛みや苦しい症状は活動を制限するだけでなく、日常生活を活気のない消極的なものにすることを示し、がんも、がん以外の痛みも、適切なケアと治療が必要であることを強調しました。

また、東北大震災などのように国が「大規模災害」と決定した時には、普段医師から処方してもらっている薬物であれば、処方箋なしでも薬局で調剤してもらえることや、海外旅行でモルヒネなどの医療用麻薬を携行する場合、地方厚生局長の許可を受ければ問題ないことなどを紹介し、こうした情報は医療現場に浸透していないことが多いので、医療従事者も患者自身も情報を知り、皆が安心して暮らせるように周知していくことが必要と話しました。

体験談をうなずきながら聞いていた参加者も多く、皆さん真剣にお話を聞いていました。どのような病気になっても、自分らしく笑顔で日常生活を送ることは多くの人が望むことではないかと思います。痛みを軽減することは大切な治療であることを多くの方が理解して、モルヒネを服用することへの誤解や偏見が減っていくことを願っています。

モルヒネ友の会では、年に1回、「モルヒネ治療 体験者の声」という冊子を発行しています。センターにも寄贈いただき図書コーナーに配架しています。関心がある方は、ぜひ手に取ってご覧ください。

■お問い合わせ先
認定NPO法人 モルヒネ友の会
事務局 山形県米沢市中央6丁目1番地219号 三友堂病院地域緩和ケアサポートセンター内
TEL:0238-24-8355
Eメール:moruhinetomonokai@gmail.com