1月28日に当センターの会議室Bで、盲導犬ユーザーのフォローアップのための勉強会が開催されました。県内での合同勉強会は初めての開催で、盲導犬ユーザーの方3名が、雪道歩行の注意点を中心に研修を受けました。

盲導犬ユーザーとは、盲導犬と暮らし、盲導犬から歩行のサポートを受けている視覚障がい者のことです。盲導犬ユーザーは約4週間の共同訓練を経て、育成団体から貸与という形で盲導犬を受け入れます。

今回講師を務めた日本盲導犬協会は、盲導犬の育成、盲導犬ユーザーのフォロー、そして、盲導犬に関する様々な事柄の普及・啓発を総合的に行っている団体です。東北では仙台市に訓練センターがあり、約20名のスタッフが盲導犬の育成に携わっています。この日は仙台訓練センターから7名の方が来県しました。

受講者は、雪道歩行の注意点についての講習を受けた後、周囲の人々に存在を知らせるための、盲導犬のハーネスに取り付けるレーザーライトについて、そして、犬の健康を保つための歯磨きについてのフォローアップも受けました。

▼ハーネスに取り付けるレーザーライトの確認をする受講者

▼歯磨きの様子

後半は参加者間でディスカッションをする時間が設けられ、この中で、盲導犬へのイメージについて、盲導犬を“スーパードッグ”の様に思っている人がいることへの不安。昨年10月にSNS上に投稿された盲導犬を蹴る動画から、思わぬ動作を虐待と勘違いされて見られることがありそうで、とても不安に感じていること。そして、平成28年に施行された障害者差別解消法に触れて、法の整備が進んでも、視覚障がい者への理解が進まない現状があるといった、当事者が日頃から感じている課題について共有がされました。また、その一方で、参加者の実体験から「盲導犬ユーザーにならなければ、社会から遠ざかり、引きこもった日々を送っていたかもしれない。盲導犬ユーザーになって行動範囲が広がり、社会との接点が増えた」といったことや、県内約2800人の視覚障がい者の内、盲導犬ユーザーは7名と、他県に比べても極めて少ない割合であることに触れて「自分が視覚障がい者であるからといって、負い目を感じながら生活するのではなく、盲導犬と私たち視覚障がい者への理解が進む様に、様々な機会を通して私たちの姿を社会に見せていければ」といった意見も交されました。

受講者は、勉強会後それぞれの自宅に移動し、その周辺で雪道歩行についてのフォローアップを受けたとのことです。

▼勉強会の間、吠えることはなく、終始静かに待機していました。

今回、この勉強会にお伺いして、私自身、街中で盲導犬を見かけた時の接し方や注意点を知りたいと思い、研修会後に訓練センターの方にお聞きしたところ、
「どうしても盲導犬に注目してしまうかもしれませんが、犬の興味を引いてしまうと、犬の注意がそれてしまうことがあります。盲導犬はあくまで人の歩行をサポートする存在なので、犬にではなく“人”に注意を払って、他の視覚障がい者の方々と同じ様に接してもらえればと思います」
と教えて下さいました。

▼盲導犬がハーネスを装着して「お仕事」をしている時の状態

私たちは、「視覚障害」や「盲導犬」はもちろん、様々な「障害」について、知っている様で意外と知らないのかもしれません。山形市に限って言えば、人口25万3千人の内、1万3千人(およそ8%)の人々が、何らかの障害を抱えながら暮らしていると言われています。これらのことからも、時折「障害」について考え、そして彼らと日頃から、何気ないコミュニケーションを取ることが大切なのかもしれないと思いました。

■お問い合わせ先
(公財)日本盲導犬協会
仙台訓練センター「スマイルワン仙台」
仙台市青葉区茂庭字松倉12-2
TEL:022-226-3910
WEB:https://www.moudouken.net/center/sendai/