いじめ防止プロジェクト山形
2006年、全国で約120000件のいじめが報告されています。年々学校内でのいじめは陰湿なものになり、一人で悩んで自殺に追い込まれるケースも後を絶ちません。もちろん山形でもいじめが報告されています。いじめ防止プロジェクト山形は、山形県内のいじめ問題を解決するために立ち上がった団体です。
柱になっている活動は、「いじめの相談」。24時間、電話とメールで相談を受け付けています。いじめで悩んでいる子どもたちだけでなく、その保護者から相談を受けることもあります。ただお話を聞くだけでなく、学校との関係やいじめた側との関係について、具体的な対応策までアドバイスをしています。実際、相談対応を行うメンバーは、酒田や天童、南陽や尾花沢などにいて、山形県内各地で相談対応できる体制になっています。
平成20年12月6日(土)に、いじめ防止プロジェクト山形が「子供を守る勉強会 子供たちの善悪の教育について 少年犯罪の現状と傾向」を開催しました。その様子と活動の内容を紹介します。
勉強会では、はじめにいじめ防止プロジェクトのこれまでの相談件数や内容、事務局の運営方法、今後のプロジェクトの課題などが報告されました。また、子どもが巻き込まれる可能性のある犯罪事例を紹介するDVDを上映しました。現在は、携帯電話を介した犯罪も増加し、保護者の目の届かない所で、子どもが巻き込まれているケースもあるそうです。子どもを犯罪から守るには大人は何を注意すればよいのかポイントを学びました。
その後、参加者のいじめに対する意見を聞く座談会が開かれました。
参加した方は、プロジェクトのメンバーや、市議会議員、高校講師、NPO法人の方など。
いじめの現場に関わっている方が多く、それぞれの視点で現在の活動状況や日頃からいじめ解決のために考えていることについて話し合いました。いじめがあった場合は親や家族など身近な人が子どもの状態に気づき、支えてあげられるような環境づくりが必要ではという意見など、活発な議論がなされていました。
このプロジェクトのメンバーが集まったきっかけは、昨年山形市で開催されたいじめに対し実効性がある解決方法を探るフォーラム。そこに参加した中から、山形でも当事者だけでなく、『外部からの協力のつながりを作ろう』という思いを持ったメンバーが集まり、このプロジェクトを立ち上げました。メンバーは、実際現場でいじめを見てきた教師の方、子どものいじめ問題の悩みを克服した保護者など。民間で教師と父母がいじめ解決のために一緒にプロジェクトと立ち上げたのは全国初だそう。
いじめ防止プロジェクトは、今年の山形市市民活動支援補助金・公開プレゼンテーションで補助金を獲得し、いじめ相談窓口の電話番号を掲載したポスターを作成、山形市内外の小中高に配布しています。まだこのプロジェクトがどういったものか理解してもらえず、掲示してもらえない場合もあるそうです。まずは、自分たちの活動の周知を図って、たくさんの方に活動を知ってもらいたいとのこと。今後も助成金など獲得に挑戦し、活動を広げていきたいと代表の池田邦明さんはおっしゃっていました。
いじめ問題解決の糸口はなかなか見つかりませんが、全国に先駆けて山形で教師と保護者が集まって、このようなネットワークが結成されたことは大きな一歩になったのではないでしょうか?今年5月から始まった活動ということですが、今後、今回の勉強会のように、いじめ問題に関わっている様々な方々が参加してネットワークが拡がっていくことが期待されます。
今回紹介した勉強会は、今後も開催していく予定だそうです。今後、勉強会の予定をセンターでもお知らせしていきたいと思います。