バイカモ国際サミット

  2月10日、11日の両日、静岡県三島市において、「協働による地域環境再生・国際シンポジウム」が行われました。主催は、特定非営利活動法人グラウンドワーク三島で、山形県内から「山形五堰の流れを考える会」と「グラウンドワーク山形」が招待を受けました。バイカモ国際サミットは、11日の分科会で行われました。

 10日は、午前中、グラウンドワーク三島の活動現場の視察、午後は記念講演とグラウンドワーク三島の15年の活動を総括する大討論会が行われました。記念講演は、グラウンドワーク発祥の地イギリスのグラウンドワークの取り組みと韓国のナショナルトラスト運動の紹介がありました。

  源兵衛川がドブ川のころの写真です。下(現在)の写真と比較してみてください。

  上の写真は、10日午前中の視察地「源兵衛川」です。この川は元々は上流の湧水池からの湧き水による、きれいなせせらぎでした。しかし、地下水のくみ上げの影響により、湧水池の水が枯渇し、ドブ川になったものです。三島市内8つの市民団体が結集し、グラウンドワーク三島を立ち上げ、市民・企業・行政によるパートナーシップにより、せせらぎを取り戻したという活動事例が世界的に有名になっている場所です。


 11日は分科会が行われ、韓国と全国でのバイカモ保全活動事例が紹介されました。山形県からは「山形五堰の流れを考える会」の活動が紹介されました。分科会には「山形五堰の流れを考える会」が出席する予定でしたが、都合により、「グラウンドワーク山形」の事務局・齋藤政美氏が代理で活動の状況を報告しました。

1.山形五堰の歴史
2.国営農業水利事業による山形五堰の水量の低下
                     3.五堰へのゴミの投棄と「山形五堰の流れを考える会」の発足
                     4.冬期間の水不足によるバイカモの死活問題
                     5.山形市市民活動支援事業公開プレゼンテーションへのエントリー
                     6.全国の県庁所在地おいて、表流水でバイカモが生育する例を他に見ない


  もう一つの山形県内からの招待団体の「グラウンドワーク山形」からは、事務局長の国分厚氏が山形県の農業土木職員として山形五堰の整備に関わった立場から、山形五堰と「山形五堰の流れを考える会」の主要メンバーのホームグランド「寺町」について紹介がありました。

1.笹堰改修の事前説明会でのエピソード
2.山形市立第六小学校での笹堰を利用した親水空間の整備
                     3.山形市立第八小学校50周年記念事業の御殿堰を利用した「御殿堰きらきら水路」の取り組み
                     4.御殿堰の受益農家が作った「御殿米」の販売
                     5.山形市近郊農村と「寺町」の交流のシンボル「通う市(かよういち)」の取り組み
                     6.バイカモを食する山形の食文化

  分科会参加者からは、
1.きれいな水の指標となるバイカモが、家庭雑排水が流入し、比較的水温の高い山形五堰に自然発生していることの不思議さ→盆地である山形の勾配が堰の流速を早くする。
2.三島のバイカモは、流速が遅くなり、水温が上がると死滅する。
3.バイカモを食用とする文化への驚き
4.韓国の参加者から山形市の公開プレゼンテーションの方法が民主的であるという評価

 このほか
1.韓国ナショナルトラスト江華バイカモ委員会
水田に咲くバイカモの保全の成功による観光地化と
無農薬米「バイカモ米」のブランド化した事例
2.治佐川とトミヨを守る会(福井県)
戦前からの工場排水公害から清流を取り戻した事例
3.青垣生き物ふれあいの里(兵庫県)  
度重なる台風水害からバイカモの里を守り抜いた事例
が紹介され、下記の宣言が採択されました。

「日韓バイカモ保全国際ネットワーク」設立宣言

 私たちは、地域の宝物・誇りである「バイカモ」を大切に守り育ててきました。

 今回、グラウンドワーク三島の呼びかけに賛同し、バイカモの保全と水辺自然環境の再生を目的に、バイカモを愛する人々が集い、交流する「日韓バイカモ保全国際ネットワーク」の設立を宣言します。

 今後、このネットワークを通して、日本と韓国の文化遺産、環境資源ともいえる「バイカモ」を次世代へ確実に引き継ぐための持続可能な市民運動を推進することを誓うものです。

アクションプラン

1.「バイカモ」の大切さ、貴重性を多くの人々に伝える努力を続けます。
2.「バイカモ」保全を通して、地域振興や環境教育の強化につながる努力を続けます。
3.「バイカモ」保全を通して、生態系や伝統文化の保全の重要性を訴えていきます。
4.「バイカモ」保全に関わる日韓の人々が集まり、相互の情報交換と交流を図る
  「日韓バイカモ保全国際ネットワーク」を毎年1回開催することに取組みます。
5.韓国江華島に「日韓協働バイカモ保全環境教育センター」を設置し、日韓の青少年への実践的な環境教育と交流の場とし      ます。

                                          平成19年2月11日
NPO法人グラウンドワーク三島
「バイカモ国際サミット」参加団体と参加者一同

                                          参加団体
NPO法人グラウンドワーク三島
韓国ナショナルトラスト江華バイカモ委員会
山形五堰の流れを考える会(山形県)
治佐川とトミヨを守る会(福井県)
青垣生き物ふれあいの里(兵庫県)