令和8年2月14日(土)、第52回哲学カフェを開催しました。
今回のテーマは「思考実験とは何か」。いつものように一つのテーマについて自由に語り合う形式ではなく、「思考実験」と呼ばれる哲学的な問いについて、参加者同士で意見を交わす内容でした。昨年8月に続く第2弾の開催となります。
そもそも「思考実験」とは、頭の中で特定の状況や条件を想定し、その結果を考える思考方法のことです。現実には起こりえないような極端な状況が設定されることも多く、その中で選択を迫られることで、自分の考え方のクセや、普段は意識しない価値観に気づくきっかけとなります。いわば“考えるトレーニング”のようなものです。
当日は、参加者にA・Bと書かれたボードを用意し、どちらの答えを選んだかを示してもらいました。その後、なぜその選択をしたのか理由を一人ずつ発表し、それをもとに議論を進めました。前回は2時間で8問の問いに取り組みましたが、今回は同じ2時間で4問に絞り、1つの問いについてじっくり話し合いました。最初に取り上げたのは、有名な「トロッコ問題」です。
トロッコ問題
あなたは、線路の切り替えレバーのポイントに立っています。すると、制御できないトロッコが向こうからやってきました。そのトロッコが進む先には5人の作業員がいて、このままだと5人を轢き殺してしまうことは明白です。進行方向を変えるレバーの前にはあなたしかいません。もしあなたがレバーを引けば線路が切り替わり、5人の命を救えます。ですが、切り替えた先の線路にも別の作業員が1人います。 レバーを引けば、その1人は確実に犠牲になってしまいます。
あなたがレバーを引けば、5人の命が救われますが、本来死ぬことのなかった1人の命が失われてしまいます。逆に、あなたがレバーを引かなければ、5人の命は失われますが、その1人の命は救われます。
さて、あなたはレバーを引きますか? それとも引きませんか?
A・・・レバーを引く B・・・レバーを引かない
人の命が関わる問題だけに、参加者の皆さんはとても悩みながら答えていました。単に「5人か1人か」という人数の問題ではなく、「自分が能動的に行動することで誰かの命を奪うことになる」という点に、多くの人が葛藤している様子でした。11人の参加者のうち、Aの「レバーを引く」を選んだのは4人、Bの「レバーを引かない」を選んだのは7人でした。
どちらを選んだとしても後から悩み続けるだろう、という点は共通した意見でしたが、Aを選んだ場合は「自分の意思で選択した」という感覚から、より重い責任を感じるという声も多く聞かれました。
また「芸術の価値」という問題では、ある芸術作品について、作者の死後に「実はその作品は芸術家の手によるものではなく、自然現象によって生まれたものだった」と分かった場合、その価値は変わるのか、という問いを取り上げました。多くの参加者は「作品の価値は変わらない」と考えていましたが、そこから「そもそも芸術の価値とは何なのか」という議論へと発展しました。
このほかにも、倫理観を問う問題や、生き方について考える問いなどを通して、約2時間たっぷりと話し合いました。参加者からは「かなり頭を使って疲れたけれど、とても楽しかった」、「自分でも気づかなかった考え方に出会えた」といった感想が寄せられました。
普段はあまり考えないようなテーマに向き合い、自分の考えを見つめ直す時間になったのではないかと思います。
次回の哲学カフェは、3月11日(水)開催予定です。テーマは『わたしの「挑戦」!』。
あなたの人生最大の「挑戦」とは何でしょうか?これから挑戦してみたいことはありますか?
さまざまな問いを用意して、皆さまのご参加をお待ちしています。
広報紙掲載の都合上、申込は一次申込と二次申込とさせていただきます。
一次申込分はすでに定員となっていますが、二次申込は3月1日(日)から受付開始となります。
※昨年度後半より毎回定員を超える申し込みをいただいており、申し込みをお断りさせていただくことが続いております。大変申し訳ございません。申し込み後にもし当日都合が悪くなり、事前に参加できないことがわかる際には、その旨お電話いただけますと大変有難いです。
ご協力をお願いいたします。
文責:「哲学カフェ」 担当 川部拓哉










