NPO法人の就業規則も一般の会社のものと違いはありません。法令などに従いながら作成する必要があります。
以下に、最低限の法令を盛り込んだ就業規則の例がありますので、これを参考に作成してみると良いでしょう。
就業規則(例)
特定非営利活動法人 ○○○○○
(目的及び適用範囲)
第1条 この就業規則(以下「規則」という)は、特定非営利活動法人○○○○○(以下「法人」という)の従業員の労働条件、服務規律その他の就業に関する事項を定めるものである。
2 この規則に定めのない事項については、労働基準法その他の法令の定めるところによる。
3 この規則は、次条に定める手続きにより採用された従業員に適用する。ただし、パートタイム従業員または臨時従業員の就業に関し別途労働契約を締結した場合は、その部分についてこの規則を適用しない。
(採用手続き)
第2条 法人は、就職希望者のうちから選考して、従業員を採用する。
2 従業員に採用された者は、次の書類を採用日から2週間以内に提出しなければならない。ただし法人はこれらの書類の一部について省略することがある。
一 履歴書
二 住民票記載事項の証明書
三 健康診断書
四 年金手帳及び雇用保険被保険者証
五 採用年において前職のある者にあっては、前職における源泉徴収票
六 その他法人が指定するもの
3 前項の提出書類の記載事項に変更を生じたときは、速やかに書面でこれを届け出なければならない。
(試用期間)
第3条 新たに採用した者については、採用の日から3か月間を試用期間とする。ただし、法人が適当と認めるときは、この期間を短縮し、または設けないことがある。
2 試用期間中に従業員として不適格と認められた者は、解雇することがある。この場合において、採用後14日を経過した者については第21条に定める解雇の手続きをとるものとする。
3 試用期間は、勤続年数に通算する。
(人事異動)
第4条 法人は、業務上必要がある場合は、従業員の就業する場所、従事する業務の変更または出向を命ずることがある。この場合において、従業員は正当な理由なくしてこの命令を拒むことはできない。
(服務)
第5条 従業員は、次の事項を守らなければならない。
一 勤務中は職務に専念し、みだりに勤務の場所を離れないこと
二 上司の命令または指示に従い、報告を徹底すること
三 法人の許可なく職務以外の目的で法人の施設、備品、物品等を使用しないこと
四 常に品位を保ち、法人の名誉または信用を傷つける行為をしないこと
五 職務に関連して自己の利益を図り、または他より不当に金品を借用し、もしくは贈与を受けるなど不正な行為を行わないこと
六 法人、取引先等の機密を漏らさないこと
七 顧客の個人情報を漏らすなど、個人情報保護法に違反する行為をしないこと
八 許可なく他の法人等の業務に従事しないこと
九 性的な言動によって他の従業員に不利益を与えたり、就業環境を害したりするなど、職場の風紀、秩序を乱さないこと
十 その他酒気をおびて就業するなど従業員としてふさわしくない行為をしないこと
(遅刻、早退、欠勤等)
第6条 従業員が、遅刻、早退もしくは欠勤をし、または勤務時間中に私用で事業場から外出するときは、事前に申し出て許可を受けなければならない。ただし、やむをえない理由で事前に申し出ることができなかった場合は、事後速やかに届け出なければならない。
2 欠勤、遅刻、早退、私用外出により労働しなかった時間については、賃金を支払わないものとするが、あらかじめ従業員から申出があり、法人が認めた場合は、その時間を年次有給休暇に振り替えることができる。
3 傷病のため欠勤が引き続き4日以上に及ぶときは、医師の診断書を提出しなければならない。
(労働時間及び休憩時間)
第7条 労働時間は、1日8時間、1週40時間とする。
2 始業、終業の時刻及び休憩時間は、次のとおりとする。ただし、業務の都合その他やむをえない事情により、これらを繰り上げ、または繰り下げることがある。この場合において業務の都合によるときは、所属長が前日までに通知する
一 始業時刻:午前○時
二 終業時刻:午後○時
三 休憩時間:12時から1時までの1時間
(休日)
第8条 休日は、次のとおりとする。
一 日曜日(法定休日)
二 土曜日(所定休日)
三 その他法人の指定する日
2 前項の休日に出勤を命じた場合は、法定の割増賃金を支給する。
3 業務の都合により法人が必要と認める場合は、あらかじめ第1項の休日を他の日と振り替えることがある。
(時間外及び休日労働)
第9条 業務の都合により、所定労働時間を超え、または前条の休日に労働させることがある。この場合において、法定の労働時間を超える労働または法定の休日における労働については、あらかじめ法人は従業員の代表と書面による協定を締結し、これを所轄の労働基準監督署長に届け出るものとする。
2 小学校就学前の子の養育または家族の介護を行う従業員(指揮命令者及び専門業務従事者を除く)で時間外労働を短いものとすることを申し出た者の法定の労働時間を超える労働については、前項後段の協定において別に定めるものとする。
3 妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性であって請求した者及び18歳未満の者については、第1項後段による時間外もしくは休日または午後10時から午前5時までの深夜に労働させることはない。
4 前項の従業員のほか小学校就学前の子の養育または家族の介護を行う一定範囲の従業員で法人に請求した者については、事業の正常な運営を妨げる場合を除き午後10時から午前5時までの深夜に労働させることはない。
5 前項の深夜業の制限の手続き等必要な事項については、育児介護休業法の定めるところによる。
(年次有給休暇)
第10条 各年次ごとに所定労働日の8割以上出勤した従業員に対しては、次の表のとおり勤続年数に応じた日数の年次有給休暇を与える。
勤続年数 |
6か月 |
1年6か月 |
2年6か月 |
3年6か月 |
4年6か月 |
5年6か月 |
6年6か月以上 |
付与日数 |
10日 |
11日 |
12日 |
14日 |
16日 |
18日 |
20日 |
2 前項の規定にかかわらず、週所定労働時間が30時間未満で、週所定労働日数が4日以下または年間所定労働日数が216日以下の者に対しては、次の表のとおり勤続年数に応じた日数の年次有給休暇を与える。
週所定労働日数 |
1年間の所定労働日数 |
勤 続 年 数 |
||||||
6か月 |
1年 6か月 |
2年 6か月 |
3年 6か月 |
4年 6か月 |
5年 6か月 |
6年6か月以上 |
||
4日 |
169~216日 |
7日 |
8日 |
9日 |
10日 |
12日 |
13日 |
15日 |
3日 |
121~168日 |
5日 |
6日 |
6日 |
8日 |
9日 |
10日 |
11日 |
2日 |
73~120日 |
3日 |
4日 |
4日 |
5日 |
6日 |
6日 |
7日 |
1日 |
48~72日 |
1日 |
2日 |
2日 |
2日 |
3日 |
3日 |
3日 |
3 従業員は、年次有給休暇を取得しようとするときは、原則として取得しようとする日の5日前までに法人に対して請求しなければならない。ただし、法人は事業の正常な運営に支障があるときは、従業員の指定した時季を変更することがある。
4 前項の規定にかかわらず、従業員代表との書面による協定により、各従業員の有する年次有給休暇日数のうち5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して与えることがある。
5 第1項及び第2項の出勤率の算定にあたっては、年次有給休暇を取得した期間、産前産後の休業期間、育児・介護休業法に基づく育児休業期間、介護休業期間、子の看護休暇期間及び業務上の傷病による休業期間は出勤したものとして取り扱う。
6 当該年度に新たに付与した年次有給休暇の全部または一部を取得しなかった場合には、その残日数は翌年度に限り繰り越される。
7 私傷病等による欠勤があった場合、従業員が事前に申し出て、法人が認めたときは、その欠勤日を第1項または第2項の休暇に振り替えることができる。
(産前産後休業)
第11条 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性従業員から請求があったときは、休業させる。
2 出産した女性従業員は、8週間は休業させる。ただし、産後6週間を経過した女性従業員から請求があったときは、医師が支障がないと認めた業務に就かせることができる。
(母性健康管理のための休暇等)
第12条 妊娠中または出産後1年を経過しない女性従業員から、所定労働時間内に、母子保健法に基づく保健指導または健康診査を受けるために、通院休暇の請求があったときは、次の範囲で休暇を与える。
一 産前の場合
妊娠23週まで・・・・・・・・・・・・ 4週に1回
妊娠24週から35週まで・・・・・・・ 2週に1回
妊娠36週から出産まで・・・・・・・・ 1週に1回
ただし、医師または助産師(以下「医師等」という。)がこれと異なる指示をしたときには、その指示により必要な時間。
二 産後(1年以内)の場合
医師等の指示により必要な時間
2 妊娠中または出産後1年を経過しない女性従業員から、保健指導または健康診査に基づき勤務時間等について医師等の指導を受けた旨申出があった場合、次の措置を講ずることとする。
一 妊娠中の通勤緩和
通勤時の混雑を避けるよう指導された場合は、原則として1時間の勤務時間の短縮または1時間以内の時差出勤
二 妊娠中の休憩の特例
休憩時間について指導された場合は、適宜休憩時間の延長、休憩の回数の増加
三 妊娠中または出産後の諸症状に対応する措置
妊娠または出産に関する諸症状の発生または発生のおそれがあるとして指導された場合は、その指導事項を守ることができるようにするため作業の軽減、勤務時間の短縮、休業等
(育児時間等)
第13条 1歳に満たない子を養育する女性従業員から請求があったときは、休憩時間のほか1日について2回、1回について30分以内の育児時間を与える。
2 生理日の就業が著しく困難な女性従業員から請求があったときは、必要な期間休暇を与える。
(育児介護休業等)
第14条 従業員は、1歳(法で定める一定の場合には1歳6か月)に満たない子を養育するため必要があるときは、法人に申し出て育児休業をし、または育児短時間勤務制度の適用を受けることができる。
2 従業員のうち必要のある者は、法人に申し出て介護休業をし、または介護短時間勤務制度の適用を受けることができる。
3 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、または疾病にかかった当該子の世話をするために、1年間につき5日間を限度として子の看護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。ただし、労使協定により除外された次の従業員はこの限りではない。
一 入社6か月未満の従業員
二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
4 育児休業、介護休業、育児介護短時間勤務制度及び子の看護休暇については、育児介護休業法の定めるところによる。
(賃金)
第15条 賃金は、基本給及び割増賃金により構成される。
2 基本給は、本人の経験、技能、職務遂行能力等を考慮して各人別に決定する。
3 割増賃金は、次の算式により計算して支給する。各式における基準内賃金は労働基準法に定めるところによる。ただし労働基準法第41条に定める管理監督者については第1号及び第2号の割増賃金は支給しない。
一 時間外労働割増賃金(法定労働時間を超えて労働させた場合)
基準内賃金
───────────── ×1.25×時間外労働時間数
1か月平均所定労働時間
二 休日労働割増賃金(法定休日に労働させた場合)
基準内賃金
───────────── ×1.35×休日労働時間数
1か月平均所定労働時間
三 深夜労働割増賃金(午後10時から午前5時までの間に労働させた場合)
基準内賃金
───────────── ×0.25×深夜労働時間数
1か月平均所定労働時間
(休暇・欠勤等の賃金)
第16条 年次有給休暇の期間は、所定労働時間労働したときに支払われる通常の賃金を支給する。
2 産前産後の休業期間、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業、子の看護休暇及び介護休業の期間、育児時間、生理日の休暇の期間は、無給とする。
3 欠勤、遅刻、早退及び私用外出の時間については、1時間あたりの賃金額に欠勤、遅刻、早退および私用外出の合計時間数を乗じた額を差し引くものとする。
(賃金の計算期間、支払日及び支払方法)
第17条 賃金は、前月○日から起算し当月○日に締め切り、当月○日に支払う。ただし支払日が休日にあたる場合は翌日に支払うものとする。
2 計算期間の途中で採用され、または退職した場合の賃金は、当該計算期間の所定労働日数を基準に日割計算して支払う。
3 第1項の規定にかかわらず、退職による場合、出産、疾病、災害等により費用を必要とする場合は、すでに労働した時間に相当する賃金を支払日前に支給することがある。
4 賃金は、従業員に対し、通貨で直接その全額を支払う。ただし、従業員代表との書面協定により、従業員が希望した場合は、その指定する金融機関の口座に振り込むことにより賃金を支払うことができる。
5 次に掲げるものは、賃金から控除する。
一 源泉所得税、住民税
二 健康保険、介護保険、厚生年金保険及び雇用保険の保険料の被保険者負担分
三 従業員代表との書面による協定により賃金から控除することとしたもの
(昇給及び降給)
第18条 本人の技能、法人の経営状態等により、昇給または降給を行うことがある。
2 昇給または降給は基本給について行うものとする。
(定年等)
第19条 従業員の定年は、満60歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。
2 定年に達した従業員について、本人が希望し、高年齢者雇用安定法第9条に基づき、別途定める労使協定の基準に該当した者については、満65歳まで再雇用する。
3 前項の再雇用制度は、1年ごとの雇用契約とし、本人の健康状態等を勘案して契約の更新を行うものとする。
(退職)
第20条 前条に定めるもののほか従業員が次のいずれかに該当するときは、退職とする。
一 退職を願い出て法人から承認されたとき。
二 期間を定めて雇用されている場合、その期間が満了したとき。
三 死亡したとき。
四 行方不明になるなど連絡が取れない状態となって14日が経過したとき。ただしやむを得ない事由があると法人が認めたときはこの限りでない。
2 前項第1号により従業員が退職しようとする場合は、退職日の1ヶ月前までに退職願を提出しなければならない。
3 第1項の規定により退職願を提出した者は、法人の承認があるまで従前の業務に従事しなければならない。また業務引継ぎその他の手続きについて遅滞なく行わなければならない。
(解雇)
第21条 従業員が次のいずれかに該当するときは、解雇とする。ただし、第23条第2項に該当すると認められたときは、同条の定めるところによる。
一 勤務成績または業務能率が著しく不良で、従業員としてふさわしくないと認められたとき。
二 精神または身体の障害により、業務に耐えられないと認められたとき
三 事業の縮小その他事業の運営上やむをえない事情により、従業員の減員等が必要となったとき
四 その他前各号に準ずるやむをえない事情があるとき
2 前項の規定により従業員を解雇する場合は、少なくとも30日前に予告をするかまたは平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う。ただし、労働基準監督署長の認定を受けて懲戒解雇をする場合及び次の各号のいずれかに該当する従業員を解雇する場合は、この限りでない。
一 日々雇い入れられる従業員(1か月を超えて引き続き雇用された者を除く)
二 2か月以内の期間を定めて使用する従業員(その期間を超えて引き続き雇用された者を除く)
三 試用期間中の従業員(14日を超えて引き続き雇用された者を除く)
3 前項の予告日数は平均賃金を支払った日数だけ短縮することがある。
(懲戒の種類)
第22条 法人は従業員が次条のいずれかに該当する場合は、その事由に応じ、次の区分により懲戒を行う。
一 訓戒 始末書を提出させて将来を戒める
二 減給 始末書を提出させて減給する。ただし、減給は1回の額が平均賃金の1日分の5割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払期間における賃金総額の1割を超えることはない
三 出勤停止 始末書を提出させるほか、10日間を限度として出勤を停止し、その間の賃金は支給しない
四 普通解雇 前条に定める手続きにより解雇する
五 懲戒解雇 即時に解雇する
(懲戒の事由)
第23条 従業員が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、訓戒、減給、出勤停止または普通解雇とする。
一 正当な理由なく無断欠勤3日以上に及ぶとき
二 正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退するなど勤務を怠ったとき
三 故意に業務の能率を阻害し、または業務の遂行を妨げたとき
四 過失により災害事故を引き起こし、または設備、備品を損壊するなど法人に損害を与えたとき
五 法人の許可なく物品を持ち出したとき
六 素行不良で法人内の秩序または風紀を乱したとき(セクシュアルハラスメントによるものを含む)
七 飲酒運転をし、または飲酒運転をほう助する行為があったとき
八 その他この規則に違反し、または前各号に準ずる不都合な行為があったとき
2 従業員が、次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、情状により減給、出勤停止または普通解雇とすることがある。
一 正当な理由なく無断欠勤5日以上に及び、出勤の督促に応じないとき
二 しばしば遅刻、早退及び欠勤を繰り返し、再三にわたって注意を受けても改めないとき
三 法人内における窃盗、横領、傷害等刑法犯に該当する行為があったとき、またはこれらの行為が法人外で行われた場合であっても、それが著しく法人の名誉もしくは信用を傷つけたとき
四 故意または重大な過失により法人に多大な損害を与えたとき
五 素行不良で著しく法人内の秩序または風紀を乱したとき(セクシュアルハラスメントによるものを含む)
六 重大な経歴詐称をしたとき
七 その他前各号に準ずる重大な行為があったとき
付則
この規則は、平成○年○月○日から施行する。