令和6年10月20日(日)
「一箱古本市@山形 読書会」を開催しました。

10月に開催していた「秋のNPO収穫祭」の催しのひとつとして、一箱古本市@山形さんとの共催で山形市市民活動支援センターの高度情報会議室を会場に、読書会を開催しました。当日は今シーズン一番の冷え込みという予報ながら、気持ちの良い秋晴れのなか、主催者側も含めて9名での開催となりました。

 今回の読書会は2部構成。まずは芥川龍之介の「地獄変」を取り上げ、参加者それぞれの感想を述べ合いました。読まれた方はご存じでしょうが、今回の課題作「地獄変」は、一言で言えばかなりエグい作品と言えるかと思います。そのストーリーもさることながら、話者による語りという形で展開される世界は、10人いれば10通りの読み方が出来る作品となっており、「権力対芸術」という読み方、王朝物としての作品の評価、起承転結で読み解く「地獄変」論など、参加者それぞれの多彩な読み解き方を聞くことができました。また、「地獄変」という作品から離れて、戦争や映画について、ホラーというジャンルについてなど、さまざまな話となり、あっという間に前半は終了となりました。

後半では参加者それぞれが最近読んだ本で面白かったもの、気になったものを紹介し合いました。

1990年代に一世を風靡した画家、クリスチャン・ラッセンを改めてとりあげた「評伝クリスチャン・ラッセン 日本に愛された画家」(原田裕規 著)や、かつて美術館の警備員だった著者が当時を振り返り、メトロポリタン美術館の裏側を語った「メトロポリタン美術館と警備員の私」(パトリック・ブリングリー著)などなど、バラエティに富んだ本を紹介されました。なかにはソビエト連邦が国家として行ってきた虐殺や強制収容などについて書かれた「共産主義黒書 <ソ連編>」という本を紹介された方もいて、学術的な本も読み方によっては娯楽になりえるというのがとても印象的でした。

終始なごやかな雰囲気の中での話し合いは、参加者それぞれの本に対する愛情が感じられてとても気持ちの良い時間となりました。参加者の多くから、定期的に開催してほしいといった声も上がりました。

センターでの次回の開催は未定ですが、山形市内でもさまざまな会場で読書会が開催されています。本好きのかたもそうでない方も、ぜひ一度このような読書会に参加してみてはいかがでしょうか。

ご参加いただいたみなさま、楽しいひとときをありがとうございました。

文責:「哲学カフェ」 担当 川部拓哉