「しゅわしゅわぷらいず~日曜日のぷらいず」

居場所と学びの場づくり ぷらいず

6月6日日曜日、山形市銅町にあるぷらいずさんのフリースペースにおじゃましてきました。

居場所と学びの場づくりぷらいずは、さまざまな理由で孤立してしまいがちな人々の居場所づくりを目的として活動している団体です。毎週日曜日にはフリースペースを開放していて、午後1時から午後4時までは「日曜日のぷらいず」として、バザーやゲーム大会など、さまざまな催しを行っています。場所はちょうど両所の宮の裏手にある一軒家で、畳敷きの大きな部屋を中心に、子どもたちが所狭しと走り回っていたり、大人も子どもも一緒になってカードゲームで遊んでいたり、赤ちゃんを抱っこしたお母さんたちが談笑していたり、とてもにぎやかです。

おじゃました日は「しゅわしゅわぷらいず」が開催されました。この日は小さいお子さんやお母さんを中心に、約15人ほどが参加していました。講師である松井愛さん(山形市手話通訳者)を中心にみんなで車座になり、あいさつや自己紹介などの手話を教わります。例えば「こんにちは」は「お昼」を表す手話と「あいさつ」を表す手話を合わせて表現されます。「お昼」は自分の顔を時計に見立てて人差し指と中指を時計の針にして12時を示す額のあたりを指します。「あいさつ」は両手を人差し指を立てて見合わせ、お互いにおじぎをするように指を曲げます。これで「こんにちは」です。教わったなかで特に驚いたのは、手話にも方言があるということ。全国的に「日(ひ)」を表現する手話は、左手の人差し指と、その人差し指に、右手の人差し指、中指、薬指を垂直につけて漢字の「日」を表すのが一般的ですが、山形では上に向けた左の手のひらの上に、親指だけを立てて握った拳を乗せる「お父さんが寝ている姿」をつくります。こうした山形独自の手話表現が生まれたのはなぜなのでしょうね。

約30分程度のしゅわしゅわぷらいずは、終始にぎやかで笑いが絶えず、教室というよりは楽しく遊んでいるような雰囲気でした。

手話を学ぶそもそものきっかけは、花笠パレードだったそうです。ぷらいずの前身でもある「ぷらっとほーむ」(2019月3月解散)が毎年花笠パレードに参加していたため、その流れでぷらいずも花笠に参加しました。参加者の中には、ろう者や難聴者という聞こえにくい方たちもおり、花笠参加後も、ぷらいずに遊びに来てくれています。以前は、唇の動き読み取り合いながらコミュニケーションを取っていたものの、コロナ禍となりマスク越しではそれも難しくなっていたことから、みんなで手話を学ぼうと「しゅわしゅわぷらいず」を始めたとのことでした。この会によって、より手話が身近なものになればいいと代表の佐藤茜さんは言います。「ここに来るきっかけは手話を学ぶというひとつの目的でなくていい。たまたま今日ぷらいずに来たら手話が学べた。ただお昼寝しに来るためでもいい。悩みやもやもやした気持ちをこぼしに来るでもいい」と佐藤さん。ぷらいずに来ることで、いろいろなモノやひととふれあうきっかけになればいいとお話しくださいました。

ぷらいずのキーワードは「異文化の交差点」と、先ほどは手話の講師をされていたぷらいず相談役の松井さんは言います。「ここにはさまざまなひとが訪れます。年代も性別も環境も違う人たち、ふだんの生活では決して出会わない人との、ここは出会いの場。その出会いを通じて初めて、自分がこれまで見ていた世界がいかに狭い世界だったかに気付ける場所。」「入口は多様、間口は広く。居場所づくりのミッションがぶれなければ、その手法は多様でいい。」ただし、と松井さんは続けます。「『孤立した人をつなぐ』というストレートなメッセージだけでは人は集まらない。運営側がサービスを提供するだけではだめ。参加者が主体性をもって動くことが、受け身の時には分からなかった活動の面白さに気づき、そこに人は集まってくる。」実際、現在開催されているイベントは、「ゲーム大会」や「鬼滅語りの会」など、参加者が企画立案したものがたくさんあるそうです。

最後に、この日フリースペースに来られていた方々にもぷらいずについてお聞きしました。「わが子がいかに可愛いか、県外出身者でワンオペ育児状態の自分には共有できる人がいない。ここではこの子の可愛さを共有できる人がいる。そのことでさみしさが満たされ、欠けているものを埋めてくれる」というお母さんがいました。「学校では同い年の人や先生としかつながりがないが、ここには年齢や性別も超えた幅広いコミュニケーションがある。」という若者もいました。「独身で40代では、仕事以外には社会との接点がなくなってしまう。ここは自分にとって本当に大切な場所」と語る男性もいました。

自分が今いる場所に窮屈さを感じたら、一度ぷらいずのドアをたたいてみてはいかがでしょうか。今より広くて優しい世界が、あなたを迎えてくれるに違いありません。

■お問い合わせ先
居場所と学びの場づくり ぷらいず
代表 佐藤 茜
住所:山形市銅町1丁目3-35
メール:prize.yamagata@gmail.com