「NPO法人美しいやまがた森林支援センター」

 NPO法人美しいやまがた森林支援センターは、森林環境の保全、森林整備支援と、森と人をつなぐ森林環境学習支援活動、森林文化の育成と継承などさまざまな活動を展開しています。

  南陽市の旧宮内高校吉野分校の廃校舎を拠点に、「11の事業」を行なっており、その活動範囲は、山形県全域に及んでいます。事業の例として、南陽市吉野地域と都市の交流をはかり、民具や民俗をまとめた郷土学講座、農村景観整備パイロット事業の一環として置賜に集中する草木塔と美しい風景の紹介、かんじき学校などの森林文化の伝承、間伐材の有効利用による森林景観の整備など多岐にわたった活動をしています。
こういった活動が展開できるのは、森と人が好きでボランティア精神に邁進できる人材が多様だから。
全国に森の達人として推薦された森の名手・名人、森林インストラクター、林業家や登山家、環境カウンセラー、丸太小屋やアルプポルンの製作者など、山形の森林や環境分野で活躍している方ばかりです。現在は、実績を生かし、政策提言やネットワークづくりなど様々な活動へと広がりをみせています。
森林問題に危機感を持つ市民の方、他分野のNPO、教育機関、市町村、そして企業など、地域との連携、同じ目的や目標をもった団体との連携、協働も行なっています。

  今回は5月2日土曜日におこなわれた、今年で第3回目となる「大森林祭」の様子をご紹介します。このイベントは山形県みどり環境公募事業の一環で地域の団体と森林ボランティア団体が連携して森林の豊かさや木の温かさを広く伝えていくことを目的として開催されました。ボランティアスタッフ105名と来場者約300名の方が参加。吉野地区からは南陽高校の生徒さんもボランティアスタッフとしてたくさん参加していました。

丸太切り、丸太転がし、丸太投げ、丸太持ち上げ、まさかりダーツなどの“木代五種競技会もりんピック”では、普段、なかなかのこぎりなどに触れる機会がない人などは丸太切りに悪戦苦闘していました。
また、森の暮らしと遊びを体験できる森林クラフトや木工体験、きのこの植菌などができるコーナーでは、会員、スタッフたちが親切丁寧に作り方の指導をしてくださり、参加した子どもたちは苦労して出来上がった自分の作品をうれしそうに友達同士で見せあって楽しんでいました。

その他、交流の広場のステージで木づくり楽器のアルプホルンやコカリナコンサート、森の恵みコーナーでの地区の婦人会方々のおにぎりやうどん、トン汁販売、地元企業提供の抽選会などもあり、地域全体が心を一つにして開催されたイベントでした。『今回のまつりではたくさんの地域の方、ボランティアの方の協力があって成功することができました。皆さんの純粋な気持ちがとてもうれしい。』と実行委員の三森さんは話していました。
普段の生活ではなかなか体験できない自然と触れ合う良い機会、地域の方たちの温かさが感じられるとてもすてきなお祭りでした。

これからの課題として、委託や助成だけに頼らない自主財源を持つことが必要で、自主財源による自由度の高いNPO運営を可能にしていきたいそうです。そして、もう一つのキーワードは「人」。美しいやまがた森林支援センターと地域の人が協力しあい、互いに育てあうことで、ダイナミックな市民パワーへつなげていければと考えているそうです。また、事業というのは、会員の協力によりやっていくので、会員の理解を大事にしているとのこと。現在は、専門性を持った人材が両輪である「企画部門」と「実行部門」でバランスよく活動しています。今後も、会員が自分のやりたい事業を主体的かつ自由に行えるシステムを保ちつつ、担当事業に責任をもち、実績を重ねていくということでした。

森林を守り、育てていくことは、未来に向け日本の国土、豊かな自然を守ることにつながります。それは、とりもなおさずいのちの源である水と空気を守ることです。
市民を含む様々な人や組織がそれぞれの持ち味や得意なことを活かし、共に手を携えて進むことで、「持続可能な森林」や「森林に生かされる社会」を実現していくのだと教えてもらいました。