特定非営利活動法人 一歩・一歩の会

指定障がい福祉サービス事業所「ハーモニィ」の活動の様子

特定非営利活動法人一歩・一歩の会は、知的障がいを持つ子どもたちが、社会の一員として毎日を豊かに暮らしていけるよう、サポートを行うことを目的に活動しています。
発足は2003年。現在では、20名の方が利用する通所の就労継続支援B型事業を行っています。

このたび、活動の拠点である指定障害福祉サービス事業所「ハーモニィ」を山形市深町から南栄町に移転したということで、その新しい事業所での1日の活動の様子を見学しにうかがいました!

施設長の細越さん、事務局長の佐藤さんが対応してくださいました。

事業所は1月にできたばかり。この土地を所有している方が一歩・一歩の会の活動をとても理解してくださる方で、内装等の希望を聞いた上で建物を建て貸してくださっているとのことです。

取材におじゃましたのは午前10時過ぎ。
「ハーモニィ」では、週5日の開所日には、下請作業や、自主製品の作成、音楽活動、畑作業など、様々な活動をしていますが、今日の午前中は、電力メーターをリサイクルするための作業を行っているところでした。

作業場の第一印象は、とにかくよく陽が入り明るい!ということ。ここで、リサイクルするために、電力メーターを分解して、綺麗に拭いて汚れを落として、色を塗りなおして、また組立てています。

利用者のみなさんが作業の工程ごとにグループになって、もくもくと作業されていました。



作業中の男性スタッフにお話を聞くと、山形県は、東北六県+新潟県の電力メーターのリサイクルを一手に担っている県だそうで、その一部を委託されているそうです。

他にも、様々なお仕事に取り組んでいます。午後からは、利用者のみなさんそれぞれが、自分の得意なこと、やりたいことに取り組んでいるそうです。

フキンに模様を縫いつけている方や、新聞紙を利用したエコバックを作っている方、編み物をしている方、ハサミで紙をとにかく細かく切っている方など、みなさんひたむきに取り組んでいました。


作業の終わりは、みんなでラジオ体操をして一日をしめくくります。

「ハーモニィ」の前には、約600坪の畑があり、その一部を借りて、利用者の方とスタッフで野菜を育てているそうです。じゃがいも、とうもろこし、ズッキーニ、さつまいも、ゴーヤ、ピーマン、なすなどが、元気に育っていました。もちろん無農薬。ここで栽培された野菜は、昼食のおかずにしたり、事業所のお祭りのバザーで一般の方に販売したりしています。みんなが収穫を楽しみにしているそうです。

事務局長の佐藤さんは、「この事務所に引越しできて本当に良かったと思っている。よく陽が入るし、風も通るし、子どもたちの雰囲気も明るくなった。町内会の方も理解してくださるのも嬉しい。隣がアパートで日中外出される方が多いので、子どもたちが多少騒いでも気兼ねすることがないのも安心。駐車場も8台分確保できる広い敷地なのはもちろん、目と鼻の先に畑があるのも申し分ない。本当にこちらをお借りできて良かった」と嬉しそうに話してくださいました。
そして、「お陰様でここ何十年かの拠点が定まったので、安心して子どもたちの面倒みることができる。みんなでの集団生活なので、悪ふざけをしている子どもがいたら愛情を持って厳しく接する時ももちろんあるけれど、その子どもが次の日に怒られた暗い気持ちを引きずって、来るのがおっくうになったりしないように、きちんと気持ちをフォローすることも忘れないようにしている。親御さんに、ここなら安心して通わせられると思ってもらえるような場所にしたい。まずは毎日を一歩一歩着実に過ごしていきたい」と真剣な表情で語ってくださいました。

嬉しいことに、団体の設立当初からずっと通ってくれている子も多いそうです。そんな子どもたちは、まるで「ハーモニィ」が自分の家で、スタッフのみなさんが本当の家族であるかのように、「行ってきます」と「ただいま」を言ってくれるそうです。


(皮のタペストリーは、利用者のみなさんが作った作品です)

今回、私がおじゃまして感じたことは、とにかく雰囲気が明るいこと。きっとスタッフのみなさんが、いつも笑顔で陽気だからでしょう。そして、利用者の子どもたちも、新しくなった「ハーモニィ」がより居心地のいい「家」になり、安心してのびのび過ごしている様子がうかがえて印象的でした。

知的障がいを持つ子どもたちが、「家」の中でたくさんの人と触れ合い、共同生活のルールも学び、たくさんのスタッフという「家族」に支えられて毎日を過ごしている「ハーモニィ」。今日もきっと、スタッフのみなさんが、利用者の子どもたちを、家族のようにあたたかく、時には厳しく、見守っていることでしょう。

<問い合わせ先>
特定非営利活動法人 一歩・一歩の会
指定障害福祉サービス事業所 ハーモニィ
施設長  細越朝子
TEL:023-647-5575

※「就労継続支援B型事業(非雇用型)」とは
通常の事業所に雇用されることが困難な障がい者のうち、通常の事業所に雇用されていた障がい者であって、その年齢、心身の状態その他の事情により、引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者、その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者について、生産活動その他の活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、その他の必要な支援を行う事業のこと。(厚生労働省ホームページより