外国出身の母親が出会う、
子育てのための日本語を教えたい。
山形県は国際結婚率が高く、外国出身の女性が多く暮らしています。外国人配偶者が暮らしていくために、日本語の習得は避けてとおれない問題。一生懸命日本語を学び、日常会話が上手になり家族とのコミュニケーションは円滑になっても、子どもが生まれると、「どう表現していいかわからない」「子どもに正しい日本語で話しかけられない」など、「子育て」で使われる言葉対して、戸惑ってしまうことが少なくないそうです。
そういった外国出身の日本で子育てをしているお母さんのために特定非営利法人ヤマガタヤポニカが「外国人母親のための子育て日本語表現」を福祉医療機構の助成金を受けて作成・発行しました。
この教科書作成のはじまりは、ヤマガタヤポニカの会員の一人が真室川の日本語教室で指導している時、子どもに対して適切な表現を学ぶ機会が無いことを地域の現場で支える保健士から相談されたのがきっかけでした。
ヤマガタヤポニカの、子育て経験者の有るスタッフが中心となり研究された「子育て日本語表現」。日常生活の母親と子どもの会話の中から、しかり方やほめ方、事故防止の言葉など具体的な場面の設定で学べたり、小学校でよく使う単語や「ふーふーして冷ます」「ゴックンして飲む」など幼児への表現も盛り込んだりしているのが特徴。重要度の高い18の場面を想定し、単語や例文、練習問題が掲載してあります。
なりよりこの教科書で外国出身のお母さんの育児がスムーズになればという願いがこめられています。
子育て中の外国人の母親に対象を絞った教材は全国的にも珍しく、日本語教育支援をしている団体から注文が殺到。マスコミにとりあげられてからは、外国人配偶者や支援する人達からも問合せがあり、作った冊子はほとんどなくなってしまうほど好評を得たそうです。今、子育てしている人だけでなく、これからお母さんになる人にも子育てで出会う言葉が学べる機会を得る意義は大きいです。
ヤマガタヤポニカは、平成5年に設立。日本語教師の資格を持ち外国人に日本語を教えるスタッフ11人が運営、低料金での日本語教室開催や日本語教師養成をしています。
長年の日本語教育の経験から蓄積されてきた多くのノウハウを生かし、山形県在住の外国人など日本語を第1言語としない人に日本語教育の場を提供し、彼らが地域住民として快適に暮らせることを目的として活動しています。また日本語教育の教材の開発、研究、研修も行っています。
日本語教室を必要としている外国出身者が多く暮らしている現状の中,どういう対処ができるかが、今後の大きな課題。個人で日本語を勉強するためには学習者が金銭的な負担をしなければなりません。また家事や仕事で教室に通えない学習者もいます。こういった外国出身者への支援は、行政のバックアップが求められます。ヤマガタヤポニカは外国人への支援の必要性、日本語教育支援の課題を行政や社会に向けて,粘り強く訴え、外国出身者も豊かに安心して暮らせる社会の実現をめざしています。