第一回 村長のダンディズム講座 ~男の料理編~
NPO法人うさぎ村
山形市東原にあるNPO法人うさぎ村は、高齢者の通所介護や居宅介護支援、そして、高齢者・障がい者の自立に向けた活動を通して、人が安心して暮らせる地域社会づくりを目指して活動しています。
7月19日、このうさぎ村で「第一回 村長のダンディズム講座~男の料理編~」が開催されました。この講座は、「高齢になっても、お金をかけずに、簡単に作れるものを」をコンセプトに企画されたもので、参加の対象は男性限定。チラシのキャッチコピーは「軽量スプーンなし 秤なし」。そして、手渡されたレジュメのはじめには、
「難しく考えないで、作ってみる。」
「まずは、いいかげんに。やっているうちに、ちょうどいい加減がわかってくる。」
とあり、特に、料理経験の無い男性陣にとってはとても参加しやすい雰囲気の講座でした。
この日の参加者は私も含め4名。この企画は初めての試みとのことで、うさぎ村村長の堀越さんもちょっとだけ緊張されているご様子でスタートしました。
この日作った料理をご紹介します。
<ご飯>
いつもなら炊飯器で炊くところ、今回は鍋で炊きました。これは、少しの量からでも美味しく炊けることと、覚えておけば停電時も困らないことにあります。
<きゅうりとしその浅漬け>
ビニール袋を用いて、手を汚さずに簡単に作れました。
<副菜・煮物>
煮物はサバの缶詰と野菜で、時間がかからないように切り方を工夫して作りました。
<味噌汁>
味噌汁はお椀で人数分のお湯を量り、無駄な量を作らない様にしました。
また、具に使った卵の火加減についてのポイントもお話されていました。
<主菜・雷豆腐>
簡単でおいしく、そしてご飯がすすむ一品として、雷豆腐を作りました。
この様にして出来上がったのが、写真の5品です。
一連の調理には、共通のポイントがいくつかあります。
まず一つ目は、調味料の分量について。「味付けはカレースプーンでこの位」「味噌汁の量はお椀で必要分を」といった具合に、普段から身近にある道具を使うこと。途中で「薄いな」と思ったら、「この位かな?」と按配を見ながら味を足して行けば良いということ。
二つ目は、必要分以上は作らないということ。例えば、味噌汁の様にどうしても多く作ってしまうものは、お椀で人数分を量って、必要分だけを作ること。
三つ目は、家庭菜園やプランター等で野菜を栽培しているものがあれば、それを簡単に調理してしまうおうということ。ちなみに、写真にある今回調理に使った野菜は全て、うさぎ村の家庭菜園で獲れたものでした。
堀越さんのお話から、これらのポイントの背景には色々な事があるのだと思いました。例えば「軽量スプーンなし 秤なし」をキャッチコピーにした理由としては、一般に普及しているレシピで分量を細かに記載してあるのは、一見すると丁寧な様に見えて実は大変。特に高齢者にとっては、小さじ、大さじと計るだけでも一苦労な訳です。
また、老後の限られた収入の中で生計を立てて行くには節約しながら生活して行かなければなりません。しかし、単に「節約しましょう」と言っても、実際にイメージするものがない中で実践するのは難しいものです。特に男性の高齢者とっては、家事の全てを奥様に頼ってきたという方はやはり多く、伴侶の方が病気になったり、そして先立たれたりといった後に、急に家事をしなければならなくなるのはとても大変なものです。
うさぎ村の堀越さんは、そういったイメージし難いものを、当事者の視点に立ち、料理を通して参加者に紹介しているのだと感じました。
今後は、今回の様な高齢者の自立を支援する内容の他にも、9月に認知症サポーター講座、11月にフェルト人形講座と、3ヶ月に1回程度で講座を企画されています。
「みなさんの生活に亘る様なことを、これからもして行きたい」
と、お話をされていた堀越さんがとても印象的でした。ありがとうございました。
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山形市東原町3丁目7-25
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(取材・文責:花屋)