とっておきの音楽祭inやまがた2016「演奏とシンポジウム」の様子
とっておきの音楽祭inやまがた2016実行委員会
第1部と第3部はジャズピアノ演奏、第2部はシンポジウムです。
会場には、中学生や高校生、年配の方など幅広い年代の男女40名程度の方が来場していました。10代女性の参加が多かったのが印象的でした。
演奏は、ピアノが高比良秀一さん、ベースが大沢イツトさん、ドラムが松浦賢二さんのトリオです。『アメージング・グレース』から演奏会が始まりました。高比良さんは、自閉症スペクトラム(※註)の障がいがありながら、10才の頃からピアノを始めたそうです。まっすぐで力強い演奏が印象的でした。大沢さんと松浦さんはプロの演奏家で、高比良さんの強力な支援者とのことです。とても楽しげで伸びやかな音を奏でるセッションを聴かせていただきました。
(※註)自閉症スペクトラムとは、他人との交流やコミュニケーションが苦手で、自分の興味関心を優先するなど社会性が不足している発達障がいの一種で、自閉症、アスペルガー症候群、発達障害などを含む、広い概念のことを指します。
第2部のシンポジウムでは、高比良さんのお母様である高比良和枝さん、高比良さんの支援グループ「共に歩む広場」代表の北沢光子さんをパネリストに、とっておきの音楽祭実行委員長の花輪敏男さんがコーディネーターをつとめ、家庭と学校と地域がどのように連携し、高比良さんを支えてきたのかについて紹介がありました。お母さんが工夫に工夫を重ねて手探りで息子とコミュニケーションを取ってきたエピソードや、支援者が学校や家庭と連携し、ボランティアの学生たちと協力し合いながら登校をサポートした等のエピソードが紹介され、コーディネーターがそれに補足や解説を加えながら話が進行しました。自閉症スペクトラムという障がいについて理解が深まりました。
「第2部のシンポジウムを聞くことで、第1部の演奏に対する印象が第3部で変化する感覚を参加された方に感じてもらい、自閉症スペクトラムに対する印象が少しでも変わってもらえればとの思いで、演奏の間にシンポジウムをはさむ構成にした」と、実行委員長の花輪さんが教えてくださいました。
今回、参加してお話を聞いてみて、「障がいがあるからこうあるべきだ」、「子どもはこうあるべきだ」などと、家庭や支援者が考えを押し付けるのではなく、そういった既成概念から離れて、本人はどうしたいのか、どうなりたいのかをきちんとコミュニケーションを取りながら、その希望の実現に向けて、まわりの人たちがサポートをしていることが、とても素敵だなと感じました。文章を書くのは苦手だという高比良さん。でも、ピアノや音楽であれば、自分で作詞作曲し、気持ちも表現できるそうです。演奏している時の高比良さんは、とてもいきいきと輝いているように感じました。
音楽の力を感じた2時間の「演奏とシンポジウム」でした。
■お問い合せ
とっておきの音楽祭inやまがた2016
ホームページ http://totteoki-yamagata.jp/
取材日:平成28年8月28日(日)
文責:佐藤