中皮腫・じん肺・アスベストセンター東北
震災から学ぶアスベスト対策
中皮腫・じん肺・アスベストセンター東北はアスベスト(石綿)の吸入から約40年経って発症する、悪性胸膜中皮腫や肺がんなどの相談や環境へのアスベスト飛散の相談を受け付けている民間の非営利団体です。また、アスベストの測定、調査、研究も各地で実施しています。
今回、平成28年度山形市コミュニティファンド公開プレゼンテーションの補助事業として、アスベスト被害を身近に知ってもらうことを目的に、山形市民のためのアスベスト対策ガイドが開催されました。
初めに、アスベストセンター事務局長の永倉さんからご挨拶がありました。その後、アスベストについての説明がありました。その中で、中皮腫による死亡者数が年々増加していること、今後20~30年の間で交通事故の死亡者数と同じくらいの数値になると予測されていることを知らされ、参加者の皆さんは驚いていました。「アスベストの予防に関しては、東日本大震災が起きた際に被災地へ行き、防じんマスクを渡して、正しい着用法を教えた。アスベスト自体の生産や使用に関する規制がされても、自分自身で正しい知識を身に付けることが必要」、と参加者にお話していました。
次に、東京労働安全衛生センターの外山さんが、震災・リフォーム工事のアスベスト対策というテーマで、アスベスト対策の難しさや実際に東日本大震災と熊本地震の被災地へ行き、調査した結果などをお伝えしました。外山さんは数日前まで、熊本にいて被災地の調査を行っていたそうです。解体作業などを見て、東日本大震災に比べると熊本県と熊本市が専門家に依頼して、大規模な建物調査を行ったことやアスベストの除去作業も適切に行われていた、ということから、少しずつアスベストの対策、被害の予防が進んでいるようです。
その後は、永倉さんから防じんマスクの着け方を教えていただきました。参加者の皆さんは、初めて見る形のマスクを手に取り、きちんと防じんされるように手順に従って着用し、このマスクは何時間くらい効果があるのか、どこで購入することができるのかなど、気になる点を質問していました。
最後に、どのようなものにアスベストが含まれているのか、実際にアスベスト建材を見ていきました。建材は家の外壁やタイル、水道管の破片などでしたが、肉眼では確認できないため、ひとりひとりルーペを使いアスベストの細かな粒子を観察していました。外山さんは建材を手に取り、なぜアスベストが使われていたのか、どのように加工されるのか、という説明もしてくださいました。
今回の講座では、相談会も実施しており、多くの方が相談にお見えになっていました。最近では、リスクコミュニケーションという方法で、業者や行政からだけでなく、市民の意見を聞き対策を考える機会づくりを行っているそうです。 今後の予定は、1月に山形市内で中高生とその保護者を対象にした体験型学習を企画しているとのことです。アスベスト予防は困難で発症も遅いため、効果がわかりにくいという話もありましたが、被害を防ぐためにも継続してアスベストの現状や予防法をこれからの世代の方々に広めていってほしいと思います。
●お問い合わせ先
中皮腫・じん肺・アスベストセンター東北
TEL:080-8217-5022
Eメール: tohoku@asbestos-center.jp