令和8年3月7日、ホテルメトロポリタン山形で国際ゾンタ山形ゾンタクラブ主催による国際ゾンタローズデー(国際女性デー)記念講演会が開催され、参加させていただきました。
国際ゾンタローズデー(3月8日)は、国際的な女性奉仕団体「国際ゾンタ」が、国連が定めた「国際女性デー」に合わせて制定した記念日です。女性の活躍を称え、地位向上や権利平等を推進する日であり、黄色いバラをシンボルに世界各地でイベントや寄付活動、講演会が行われています。
国際ゾンタ山形ゾンタクラブでは毎年山形で活躍されている女性をお呼びして記念講演会を開催しています。今回の記念講演会は「歩んできた道を振り返り 若い人たちへエールを」~女性の働き方が変わる時代を生きて~と題し、山形大学ダイバーシティ推進室准教授の柿﨑悦子先生を講師に迎えて開催されました。
柿﨑先生は高校の生物教員として教職の道を歩み、山形県立小国高等学校や米沢興譲館高等学校で校長を歴任。現在は山形大学で男女共同参画やダイバーシティ推進、教育におけるジェンダー平等、多様性の理解、進路・キャリア形成支援などをテーマに研究や講演活動を行っています。令和7年度には山形県男女共同参画社会づくり功労者等知事表彰も受賞しています。
今回の講演では、ご自身の歩みを振り返りながら、女性の社会進出について「これまで」「現在」「これから」の三つの視点から話をしていただきました。これから社会が変わっていく中で私たちはどうしたらいいのか、若い女性たちにどういうアドバイスをしたらいいのかというお話でした。
まず「これまで」について、1960年代の高度経済成長期の教育は、同じ目標に向かって皆が同じように進むことが重視されていたこと、1980年代後半からは情報化の進展とともに価値観の多様化が進んだこと、そして現在はAIやIOTが浸透する社会の中で、一人ひとりに合った学びを進める「個別最適化の教育」へと変化していることが紹介されました。
柿﨑先生が大学院を修了した頃、1985年に男女雇用機会均等法が制定されました。しかし当時は女性の就職機会が十分に開かれておらず、大学院卒の女性は採用しないと言われることもあったといいます。生物学を学び将来への希望を抱きながらも社会の壁に直面し、「好きな生物を誰かにつなげたい」という思いから教員の道を選ばれました。教員になってからも女性教員の研修機会の少なさや早期退職の勧奨など、見えない壁を感じることがあり、いわゆる「ガラスの天井」を実感する場面も多かったそうです。
高校教員として理系女子の育成にも力を注ぎ、小規模校の連携による全国小規模校サミットの立ち上げにも関わりました。また米沢興譲館高校ではスーパーサイエンスハイスクールの取り組みを通じ、自然科学系人材の育成に尽力されました。2021年時点で山形県内の公立高校校長に占める女性の割合は約19%であり、女性管理職の少なさも実感されたといいます。
雇用機会均等法が施行された時を振り返って、「それまでは男性も女性も社会に出て同じように活躍できると思っていたが、私がこれから出ていく社会は、その法律がなければ女性が社会の中で活躍できない、そういう社会だったと思ったことを鮮明に覚えている。男女雇用機会均等法が制定されたという『朗報』が飛びこんできた。けれどその朗報を朗報とは受け止められなかった。」という言葉が印象的でした。それは性別によって自分の生き方が狭められている社会に生きているということを突き付けられた瞬間だったといいます。
続いて「現在」の状況として紹介されたのが、男女格差を示すジェンダーギャップ指数(GGI)です。日本は教育分野では比較的高い評価を受けているものの、政治や経済分野での格差が大きく、世界118位と低い順位にあることが示されました。また社会には無意識の思い込みであるアンコンシャス・バイアスが存在し、「男性だから」「女性だから」といった固定観念が進路選択や職場環境に影響を与えていると指摘されました。
例えば理科の実験で男子が作業、女子が記録を担当するなどの役割分担が自然に生まれることや、女性が成果を上げると「女性なのにすごい」と例外扱いされ、失敗すると「女性だから」と一般化されるといった期待値の偏りもあるといいます。こうした構造は賃金格差や昇進機会の差にもつながっており、女性が昇進しにくい状況を表す「マミートラック」などの問題も紹介されました。
一方で、オーケストラの採用で行われたブラインドオーディションのように、性別を意識しない評価方法を導入することで女性の採用率が高まる事例もあり、アファーマティブ・アクションの重要性も示されました。アファーマティブ・アクションとは、採用で男性と女性が応募してきた時、同じような力を持っていたとしたら女性を採用しましょうという取り組みのことです。
最後に「これから」の社会について、人口減少と労働力不足が大きな課題であることが示されました。山形県でも出生数の減少が続いており、将来の社会を支える人材をどう育てるかが重要な課題となります。これからの労働力人口を支える存在は女性と高齢者であり、女性が能力を発揮できる社会づくりは不可欠ですという言葉には深くうなずかされました。
また、ダイバーシティ(多様性)の重要性についても触れられました。同質の人だけで意思決定をすると判断の質が下がる「集団浅慮」が起こりやすいため、多様な背景を持つ人々が参画することが社会の活力につながるといいます。
世界の第一線で活躍する人物の言葉として、米国企業の幹部であるシェリル・サンドバーグの「女性が社会の半分を動かし、男性が家庭の半分を担うとき、本当の平等が実現する」という言葉が紹介されました。柿崎先生自身、いままでジェンダーに関する言葉に幾度となく傷ついたときもあったそうです。けれど若い世代の前で「昔はこうだった」と語るのではなく、自らがロールモデルとなり、次の世代に力強い言葉を届けていきたいと語っていました。
働きたいと願う人が、性別に関係なく能力を発揮して働ける社会を実現していくことの大切さを呼びかけ、講演は締めくくられました。
国際ゾンタ山形ゾンタクラブは、発足から間もなく19年を迎えます。「女性が輝いて生きることができる社会」の実現をめざし、女性や子どもへの暴力撲滅を訴える「ZONTA SAYS NO!」の活動をはじめ、犯罪被害者支援センターへの支援、小児がんで入院している子どもたちへ絵本や玩具を贈るなど、地域に根ざした奉仕活動を行っています。
昨年は、山形大学病院小児科病棟へ七夕イベントで使用する七夕セットを、また山形野草園へは図鑑などの本を贈呈しました。これらはいずれも毎年継続している活動です。さらに来年度は、天童市社会福祉協議会を通じて子ども食堂への寄付も予定しています。
活動に興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
- お問合せ先
国際ゾンタ山形ゾンタクラブ
会長 久我友紀さん
TEL:090-4316-2518
Email:kugayuki@ando-yamagata.com










▲柿﨑悦子先生
▲講演会のようす 皆さん真剣に聴き入っています。
▲花束贈呈
▲最後にみんなで集合写真