「パーキンソン病の話 体験談聞いてみませんか?」が開催されました
一般社団法人 全国パーキンソン病友の会山形県支部
平成29年6月20日(火)10時から、山形市西山形コミュニティセンターで、パーキンソン病の話 体験談聞いてみませんか?」が開催されました。会場となった西山形コミュニティセンターは山形市の南西部に位置しています。西に向けて車を走らせ、西公園を過ぎて山形中央自動車道を超えたところです。山形市内がきれいに見渡せる素敵な場所でした。
全国パーキンソン病友の会山形県支部は、県内パーキンソン病患者、家族が連帯して、医療・福祉・療養生活の充実や向上のために活動し、会員相互の親睦と交流を深めることを目的として活動しています。医療講演会やリハビリ体操、防災講演会、個別相談会などの開催を通して、病気に負けることなく元気で明るい生活が出来る様サポートしているそうです。今回の「パーキンソン病の話 体験談聞いてみませんか?」では、前半に、パーキンソン病の方から体験談を聞き、後半に、ポールウォーキングの説明と実技体験がありました。
まず、パーキンソン病友の会の松木純子さんから、『患者から見たパーキンソン病』というテーマで話がありました。看護師として医療機関で働いていた9年前に若年性パーキンソン病を発症し、療養と仕事の両立に悩み離職したそうです。パーキンソン病は近年増加傾向にあり、病名は知っていても症状はあまり知られていないと聞いて、まさに自分自身もそうだったと思い至りました。
パーキンソン病は難治性の病気で進行性でゆっくりと進みますが、薬でのコントロールで従来通りの生活が続けられるそうで、パーキンソン病の知識を正確に得ることが一番重要なことだそうです。この病気は神経伝達物質のドーパミンが減少し体がよく動かない、自分の意志とは関係なく体が震えるという症状が起きますが、原因はまだ解明されていないそうです。
高齢者の加齢症状と類似していて見つけにくく、診断と治療開始が遅れやすいことも特徴の一つです。有病率は1,000人に1人の割合で、山形県には1,500人の患者がいるということです。40歳以下で発症する若年性パーキンソン病は、全体の5~10%を占め遺伝的要素が強いそうです。
パーキンソン病の症状は、運動系の障害と、自律神経系の障害と、神経系の障害の3つです。運動系の障害は、震えや筋肉が固くなること、動作の緩慢、姿勢保持障害で、自律神経系の障害は、立ちくらみ、便秘、頻尿、不安、不眠、書字障害、嚥下障害、嗅覚低下と深刻な問題になりやすい要素があります。神経系の障害は、3~4割の方に抑うつがみられ、幻覚や妄想、認知症、寝言などのレム睡眠行動障害、ギャンブルなどの衝動行動調節障害があるそうです。
主な治療薬はLドーパという薬で脳内のドーパミンを補い運動障害の症状の改善をしてくれますが、長期服用でウェアリングオフ現象(薬の効いている時間が短くなる)やオン-オフ現象、ジスキネジア(体が勝手に動く)が起きてきます。
このように、パーキンソン病は全身にわたる多くの症状がみられ人それぞれ違いがありますが、松木さんは車の運転ができなくなっていることと、朝起きるのに時間がかかってしまい朝ごはんが作れないことに困っているそうです。そのような時には、家族に出来ないことを素直に言うことが大切で、家族は時間がかかっても本人にやらせることが必要だとのことです。そして患者を見守り、出来ないことをサポートし、患者の気持ちに寄り添うことが何よりの安心という薬になるとのことでした。
病気が進行する不安はありますが、日常生活=リハビリと捉え、散歩や旅行、ブログなども楽しんでいるとのこと。病状を受け入れ自分を受け入れた上で自分の人生を楽しみ、病気で繋がったかけがいのない多くの人たちへの感謝を忘れずに、ありのままにしなやかに生きていきたいと話す姿が、凛として清々しく輝いていました。松木さんの話の後に他に3人の方からも体験談が語られ、ポールウォーキングの実技の紹介がありました。
ポールウォーキングとは、2本のポールを持って歩くことにより、通常のウォーキングに比べてより安全で、効果的にウォーキングが行えるフィットネスプログラムで、年齢性別を問わず気軽に楽しめ、エクササイズの効率が非常に良いそうです。パーキンソン病の運動能力を改善することが出来て、リズム障害に対しても有効ということでした。
パーキンソン病は障害者総合支援法に平成25年から追加されていますが、地域支援事業が進んでいるとは言いにくい状況で、制度面での課題はまだまだあるとのこと。地域の中で高齢者も障害者であるパーキンソン病の患者も、誰もが共生し生きやすい地域社会を目指していかなければならないと強く感じました。
■お問い合わせ先
(一社)全国パーキンソン病友の会山形県支部
事務局 〒 990-0511 寒河江市大字慈恩寺328 佐藤吉雄様方
取材日:平成29年6月20日(火)
文責:有川