2023年12月5日火曜日に、七日町にある子育てランドあ~べの隣にあるポンツリーカフェで開催された「まちなか保健室」に行ってきました。

「まちなか保健室」というのは市民活動団体「暮らしの保健室やまがた」の主催で、今年の8月から毎週火曜日午前10時30分から午後3時にポンツリーカフェを会場に開催されています。

午前10時30分から11時30分までは健康教室として、薬剤師さんや保健師さんなど専門知識を持った方々の話をお聞きし、その後午後3時まで個別相談の時間となります。

今回のおめあては「健康教室」。これまで健康教室では「聞いて安心認知症のはなし」(8月8日)、「足の健康」(8月22日)、「ずっと家で暮らすためのお片付け」(9月5日)、「毎日すっきりしていますか~トイレの話~」(9月19日)など幅広いテーマを取り上げて、毎回健康に関する知識を学びつつ、自分の生活習慣などを見直す時間となっています。

5日に開催された健康教室では、萬屋薬局 管理栄養士の大沼瑞季さんを講師に「ラーメン王国山形で高血圧にならないためには」というテーマで話されていて、まさにラーメン好きな私にとっては聞き逃せない内容でした。

最初にスタッフを含め、参加者の方の自己紹介と好きなラーメンの話から始まりました。それぞれの推しのラーメンの話を聞いていると、お昼前という時間もあってラーメンが食べたくなってきました。けれどもそこで気になるのがラーメンに含まれる塩分です。話の始めにラーメン好きな山形県民は男女とも全国でも上位の食塩摂取量を誇っているという、あまり嬉しくない事実を知らされます。そこからなぜ塩分を摂りすぎると体に良くないのかという話となり、どのように塩分を減らせばいいか、食事のとり方や調味料の使い方、食べ物を選ぶときのポイントなど、ためになることをたくさん教わりました。講話の途中でも講師への質問も飛び交い、皆でわいわい話しながらの楽しい学びの場となっていました。講話のあとの個別相談の時間では、希望すれば血圧測定などもしてもらえます。健康についての悩みや病気の事、介護についての相談もできるとのことです。

そもそも「暮らしの保健室やまがた」という団体を立ち上げるきっかけになったのは、医療分野の専門職と、一般の人たちとを繋げたいという想いだったそうです。

代表の大竹まり子さんにお話を伺いました。大竹さんは山形大学医学部看護学科で准教授をしていて、これまで訪問看護ステーションなど地域で働く看護師を教え育てることを仕事としていました。退院して病院から地域に移行するという現場を数多くみてきた中で、国が進める大きな仕組みである地域包括ケアシステムがうまく活かされていないという現状に直面したそうです。

心臓病や糖尿病などといった慢性の病気は退院して終わり、治って終わりということではなく、ずっと長く病気と付き合っていくことになります。年を重ねて高齢者となり、さらに死別などにより単身者となったときに、寂しさや悲しみといった精神的なことなどで体のバランスを崩してしまうといった人も多く、それは病院に行って解決するものばかりではなく、社会的処方が必要といいます。

高齢や看取りというのは本来病気ではなく、人間にとって自然な状態であり、そういった状況に対応するために国は地域包括ケアシステムというものを立ち上げて、訪問看護ステーションや地域のサービスなどといった仕組みが作られています。けれどもそういった取り組みは市民にはほとんど伝わっていないというのが現状です。山形市では65歳以上の人を対象としたサービスに力を入れていて、数多くの冊子も配布されているのですが、そういったことが全く一般の人たちに伝わっていないのがとても歯がゆいと大竹さんは言います。

もう一つ活動の原点となっていること。それは福祉協力員として地域で活動した時の経験から生まれたといいます。身内の人が認知症になったなどというと、地域の人たちはそれを隠してしまうことがよくあるそうです。高齢の単身者が増えていることを受けて、国は自助・互助を呼びかけ、介護保険だけでなく地域で支え合いましょうと言っていますが、福祉協力員として手を差し伸べようにもなかなか踏み込んではいけず、せっかく世の中の仕組みは整ってきているのにそのサービスが必要な人には繋がっていないというのが現状です。結果として本人の意向は反映されず、本人に代わって子どもが施設の入居を決めてしまうということが今も多く見受けられます。このままじゃいけないと大竹さんは言います。そんな大竹さんの呼びかけに賛同した仲間の強い想いが活動の根底にあります。

欧米では「子どもは他人ですよ」と大竹さんは言います。欧米では家族と言えば配偶者までで、自分の子どもは親戚という意識なのだそうです。欧米人の価値観では個人をとても大事にしていて、当事者本人がどうしたいかが最重視されます。日本でも介護やケアを必要としている本人がいろんなことを知って、最終的な判断は本人に決めてほしいという願いがあり、そこにこそ、「健康教室」を開催する大竹さんの強いこだわりがあります。

もし身近に相談できるところに理学療法士がいたら、例えばひざが痛いといった日常で感じたちょっとしたことも気楽に相談ができ、症状の悪化予防につながります。症状が悪化する前に相談してくれればいいのにという悔しさをなくしたい、早い段階で専門職とつながるための気軽に相談できる場を作りたいという専門職の仲間みんなの想いが、「暮らしの保健室やまがた」の活動の原点となっています。

 

「まちなか保健室」の12月の開催は12、19、26日を予定しています。健康教室は山形市の健康ポイント事業であるSUKSK対象にもなっており、参加ごとに500ポイントがもらえます。健康について気になっているという方、介護について相談したいという方はぜひご参加ください。
 会場となっているPont Tree café(ポンツリーカフェ)は山形市七日町1-1-1、子育てランドあーべの隣にあります。また、それぞれの「健康教室」での講話など、詳細は以下のURLからご確認いただけます。

https://kurahoygt.wixsite.com/home

 

(文責:川部)

 

●お問い合わせ
暮らしの保健室やまがた(保健・医療・福祉の専門職ボランティア)
メール:kuraho.ygt@gmail.com
 TEL090-8922-7080/FAX 023-626-2070