「山形県要約筆記者養成講座」にお邪魔してきました
一般社団法人 山形県聴覚障害者協会
約半年間に渡って開催されている「山形県要約筆記者養成講座」にお邪魔してきました。今年度で、第4期目の開催とのこと。この講座は、4月を皮切りに、11月まで全14回開催されます。主催は、一般社団法人山形県聴覚障害者協会が業務を委託されている山形県聴覚障がい者情報支援センターです。
要約筆記とは話し手の話の内容をつかみ、それを文字にして伝える、聴覚障がい者のためのコミュニケーションの保障です。情報を保障する手段として、他にノートテイクや手話通訳などがあります。また、障がいのある方自身が障害の軽減、改善をする手段として、補聴器、人工内耳などを装着し聴覚を補償する場合もあります。
私が伺ったこの日は、ちょうど折り返しの7回目。要約筆記をした時に、受け手となる難聴者の方と受講生が語り合い、お互い意見を聴き合う内容の講座が行われていました。これまでの講座では、日本語の基礎や音が聞こえる身体的な仕組みや聴覚障害の基礎、難聴者を取り巻く現状などを学んでこられたそうです。
今回は、講座受講生の他、難聴者の方、要約筆記者の方など、日頃から県内で聴覚障がいの方の支援に携わっている方が集まっておられました。今日の交流会の対話も、要約筆記と手話によって、会場全員の方が知ることができるようになっています。
まず、講師の方から、難聴者の方とコミュニケーションをとる時の注意点のお話があり、
・聴覚補償として、補聴器や人工内耳などを利用している人もいらっしゃるので、はっきりとゆっくりと話し、早く話す必要はないこと
・口話※を行う方もいるので、下を向いて話さないこと
・話す前にまず自分の名前を言うこと
などを教えていただきました。
その後は、受講生・難聴者の方それぞれ自己紹介し合いながら、意見交換開始。
難聴者の方は、難聴となった年齢や原因、聞こえ方や聴力などを詳しく教えてくださり、人によって聴覚障がいの状況が違うことをお聞きしました。また、これまでどのように障害と向き合ってきたのかということも率直に伝えてくださり、受講生の皆さんはその想いや背景を理解しようと真剣にお話を聴いていました。
受講生の皆さんからも率直な様々な質問をぶつけ、難聴者の方は一つ一つの質問に丁寧に答えていました。
講座の最後、難聴者の方からは、「病院などで、人と接する機会に要約筆記者の方がそばにいてくれるだけで安心して受診できる」、「自分のことを理解してくれる人がそばにいるということはとても心強い」、「間違ってもよいから書くことに自信を持ってほしい」といった、これから要約筆記者を目指す方を応援するメッセージがたくさん贈られ、受講生の皆さんも気持ちを新たにしている様子がわかりました。
受講生の皆さんは、11月までの講座を終えた後、要約筆記者認定試験を経て、実際に活動を行うことになるそうです。
山形県聴覚障がい者情報支援センターでは、要約筆記者養成講座の他にも、手話通訳者の養成や盲ろう者介助に関する講座、手話通訳者,要約筆記者の派遣なども行っています。詳しい情報は下記のURLから団体ホームページをご覧ください。見学させていただき、ありがとうございました!
※口話…聴覚障害者が、相手の音声言語を唇の動きや表情によって理解し、自らも発音器官を訓練し発語すること
○お問い合わせ先
山形県聴覚障がい者情報支援センター
山形県山形市小白川町2-3-30
電話:023-666-7616(テレビ電話:050-5551-0543)
FAX:023-666-7616
e-Mail : y-mimi@white.plala.or.jp
ホームページ: http://y-mimi.sakura.ne.jp/