12月3日に山形市総合福祉センターにて、山形県手話通訳問題研究会が主催の学習会、「山形の手話を学ぶ」が行われました。講座には、会員の方だけでなく、手話を現在勉強している方なども含めて25名が参加されました。
 この学習会は年間事業として、地元(山形県内)のろう者から自分が経験したことを手話で話していただき、山形で伝統的に使われている手話を学ぶことを目的に開催されています。

 前半は、「山形の手話を学ぶ」というテーマで、天童市を中心に活動されている(一社)山形県聴覚障害者協会、小関紀枝さんから山形ろう学校に通っていた時の経験などもお話いただきました。説明の途中では、小関さんの手話を見て、何を言っているのか考えるグループワークも行われました。参加された皆さんは、意味がわかる手話から考え、わからない部分を推測して会話文を作っていました。


 答え合わせのとき、「手話の動作は1つだが、日本語の意味としては前後の文脈(手話)を考えると、複数の意味を持つものもある。1つの動作に対して1つの意味しかないと思っていると、相手に正確に意味が伝わらないときもあるため、わからない場合は前後の手話の意味や表情、口の動きなどを見て考えてください」との小関さんの説明に、参加した皆さんも小関さんの手話を真似して使い方を改めて確認していました。

 また、「手話通訳者の中には会話した内容を全て通訳する人もいるが、それだけではなく、伝えたいことは何なのかを、しっかりつかんで手話通訳をしてほしいと思う」、と手話通訳をする心がけについても教えてくださいました。


 後半は全国手話通訳問題研究会(以下、全通研)理事の石川敬さんから、手話通訳者の労働と健康についての問題についてお話いただきました。全通研は5年に一度、健康調査を行っており、手話通訳者が仕事をする上で発生する病気やその予防について研究しています。今回は、その調査を行うことになった背景や、手話通訳者がなりやすい頸肩腕障害(けいけんわんしょうがい)※について紹介していただきました。この頸肩腕障害を予防するために、全通研ではストレッチ体操や行政に特殊検診の実施を呼びかけているそうです。また、石川さんから「自分が学生時代はろう学校でも手話を使うことは禁止されていた。」という話を聞き、参加した皆さんも驚いていました。


 今後の活動について、会長の舟越芳子さんにお聞きしたところ、「毎年3月に耳の日記念集会を、山形県手話サークル連絡協議会と山形県聴覚障害者協会と三団体で開催しています。」とのことでした。学習会の中では、手話通訳者は増えているが全国的に見ると必要数に達していない、という話もあったため、このような機会を通して多くの方に手話について知ってほしいと思います。

※頸肩腕障害とは…腕や指を繰り返し使う仕事や、腕や頸を一定に保つ姿勢で行う仕事についている人たちに発生する職業病。症状は、肩や腕のこりや痛み、手指のしびれから始まり、長期化すると頭痛、めまい、目のかすみを引き起こす。(必ず手話通訳者が発症するわけではない)

■お問い合わせ先
 山形県手話通訳問題研究会
 Eメール:meitotoro1830@yahoo.co.jp