第1回「地域猫」セミナーを取材しました

野良猫クラブ

 野良猫クラブは、動物愛護の精神に基づき、野良猫の殺処分ゼロをめざし、平成18年10月から活動している団体です。

 平成26年12月21日(日)に、第1回「地域猫」セミナーが、山形市まなび館交流ルームで開催されましたので、取材に伺いました。

 このセミナーは、地域ぐるみで協力し、野良猫に不妊・去勢手術をすることで繁殖を防いで殺処分を減らすといった、地域で野良猫を見守る活動について学ぶとともに、地域の現状を知り、自分一人だけの力では限界があっても地域のみなさんでできることを考える機会をつくるために、開催されたものです。

 お話されたのは野良猫クラブ代表の菅井さんと副代表の桔梗さんです。「動物愛護管理法」や「山形県の猫の現状」、「地域猫」について約1時間半お話されました。

 「動物愛護管理法」は昭和48年に制定され、今年の5月に最終改正が行われています。この法律は人と動物の共生する社会の実現を目指しており、動物の所有者はその命を終えるまで適切に飼養すること(終生飼養)や、繁殖に関する適切な措置に努めなければならないとされています。また、飼い主の有無にかかわらずみだりに殺し、傷つけたり、遺棄、虐待することは犯罪であり、それに対する罰則も強化されたそうです。

 「山形県の猫の現状」については、平成24年度に県として引き取った数は2,229匹、負傷収容(保護)したのは99匹、その内譲渡されたのは78匹、殺処分されたのは2,235匹となっていて、殺処分された83%が子猫だそうです。また、山形県の平成25年度の動物愛護関連の予算は100万円未満で、先進地の一つである熊本市では2億円を超す予算となっているそうです。
 次に「地域猫」については、野良猫と地域猫の違いや地域猫の定義、地域猫活動の内容とそのルールやポイントについてわかりやすくお話下さいました。
猫は元々仏教の伝来と共に経典がネズミからかじられるのを防ぐために中国から船に乗ってやってきたそうです。
 その後貴族の愛玩動物となり、貴重な輸入動物なので、つないだり部屋飼いをしていたそうです。その後は、徳川家康から、ネズミを退治してもらってきれいな街を作るため「猫をつないで飼ってはならない」とのお達しがあり、猫の姿は街の中で多く見られるようになりました。明治32年にはペストが大流行し「一家に一匹の猫を飼おう」キャンペーンが行われていたということです。その後大正15年にはペストの流行が収まり、その頃から野良猫が増えたと言われているそうです。

 様々な人間側の都合で、野良猫は人がつくってきたということになります。

 今私達が見ている野良猫の親は、「野良猫」と「不妊去勢手術をしていない、家と外を自由に行き来する飼い猫」です。地域猫の活動を進めていくためには、「野良猫」の①増加防止、②被害対策を地域に理解していただき、地域住民と行政とボランティアの三者が協働して取り組んでいく必要があるとのことです。
「地域猫」とは、ただその地域に住んでいるだけではなく、地域の人に受け入れられている猫で、地域住民が地域猫活動として活動のルールを作り、①正しい餌やり、②トイレ設置、③清掃、④不妊去勢手術、⑤広報に取り組んでいくことがポイントということです。

 皆さんの周りで野良猫に餌をやっている人はいませんか。また、野良猫被害で匂いや糞尿に困っている方はいないでしょうか。餌やりを禁止しても、野良猫を排除しても問題は解決しないことがよく理解出来ました。餌をやってもやらなくても、猫は本能に従って繁殖します。野良猫クラブさんが目指しているのは野良猫がいてもイライラしない、暮らしやすい地域社会の実現で、動物愛護と人間生活のバランスをとることだとお聞きし、そんな地域社会が実現できればいいなと強く感じました。
 猫が好きな方はもちろん、嫌いな方もほんの少し野良猫に目を向けてみませんか、そして暮らしやすい地域社会の有り様や環境について考えてみましょう。

 野良猫クラブの活動について興味のある方は、毎月1回開催している相談会に参加されたり、下記連絡先にお問い合わせしてみてください。

お問い合わせ
野良猫クラブ
・代表  菅井 恵子
・電話  023-631-1281